文系の数学のレベルと使い方|2冊でも早慶・旧帝には届きません

河合出版の「文系の数学」は、重要事項完全習得編実戦力向上編の2冊で構成されるシリーズです。文系の受験生が使う問題集として定着しており、書店でも赤い表紙で目に入りやすい存在になっています。まずはこの2冊がどういう本なのかを、出版社が公表している数字から確認してください。文系の受験生であれば、書店や塾で名前を聞いたことがあるはずです。

結論からお伝えします。2冊を仕上げても、早慶や旧帝大の文系には届きません。この点は曖昧にせずお伝えしておきたいところです。難関大の文系を目指すなら、典型問題を固めたあとに文系プラチカのような一段上の問題集を挟む必要があります。この本をゴールに設定してしまうと、志望校との距離が縮まらないまま時間が過ぎます。

もうひとつ押さえておきたいのが、この2冊の位置づけは志望校によって変わるということです。竹内個別のカリキュラムでは橋渡し問題集として使うことが多いのですが、志望校のレベルによっては合格問題集として扱う場合もあります。同じ本でも、誰が使うかで役割が変わるということですね。この記事では公式データと竹内個別の方針から、レベル・使い方・到達点を整理します。竹内個別は大学受験全般に対応するオンライン個別指導塾です。参考書の読み解きと方針の解説としてお読みください。

この記事でわかること

  • 文系の数学2冊のレベルと問題数(河合出版の公式データ)
  • 2冊を仕上げても早慶・旧帝の文系に届かない理由
  • 志望校によって位置づけが橋渡しにも合格問題集にも変わること
  • 青チャートとの使い分けと、レベル帯の違い
  • 竹内個別があえて推奨していない理由

文系の数学のレベルと問題数

「文系の数学」は河合出版から出ているシリーズで、著者は堀尾豊孝氏です(石部拓也・影平俊郎の両氏が編集協力)。重要事項完全習得編実戦力向上編の2冊があり、どちらも文系の受験範囲である数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Cを扱います。まず2冊の基本情報を並べて確認してください。理系向けのシリーズは別に用意されているため、この2冊は文系専用の設計になっています。数学Ⅲ・Cは扱いません。

2冊の問題数とページ数

以下は河合出版が公表している数字です(出典:河合出版 商品ページ)。他社の解説記事では「152問」「272問」といった数字も見かけますが、公式の表記とは一致しません。この記事では出版社の数字を採用しています。まず全体像を掴んでください。数字が食い違うときは、出版社の表記を優先するのが確実です。改訂によって収録数が変わることもあります。

重要事項完全習得編実戦力向上編
例題158テーマ97テーマ
演習問題115題113題
合計273題210題
ページ数288ページ336ページ
定価(税込)1,320円1,320円
発売日2024年7月16日2026年6月2日

注目していただきたいのは、実戦力向上編が2026年6月に改訂されたばかりだという点です。改訂前の情報を載せたままのサイトも残っているため、問題数や構成については必ず最新版を確認してください。2冊を揃えても2,640円で、参考書としては手に取りやすい価格帯になります。1冊あたり1,320円で、2冊揃えても2,640円に収まります。

問題数を見ると、習得編が273題、実戦力向上編が210題で、2冊合わせて483題という分量です。文系の範囲は数学Ⅲ・Cを含まないぶん、理系向けの問題集より収録数は抑えられています。それでも2冊を通すとまとまった量になるので、取り組む時期は計画的に決める必要があります。1冊あたりの厚みはページ数に表れており、実戦力向上編のほうが336ページと厚くなっています。

レベルは偏差値50〜55が目安

竹内個別としてお伝えするレベル感は、重要事項完全習得編で偏差値50〜55、大学でいうと日東駒専からMARCH下位というあたりです。河合出版の公式レベル表記は「易〜難」となっていますが、実際に取り組む生徒の学力帯としてはこの範囲が中心になります。教科書レベルが一通り入っている前提の本だと考えてください。

実戦力向上編はその一段上に位置します。習得編で身につけた型を、入試で通用する形まで引き上げるための問題集です。ただしこの2冊を積み上げた先がどこまでなのかについては、はっきりお伝えしておきたいことがあります。次の項目で扱います。収録テーマは97と習得編より絞られており、そのぶん1問あたりの重さが増します。演習問題も113題ついています。

参考書のレベルはわかっても、そこに届くまでに何をどの順で何時間やるかは別の話です。参考書ごとの所要時間と目標正答率まで入ったロードマップを無料でお配りしています。

文系の数学は2冊で483題

2冊を仕上げても早慶・旧帝の文系には届きません

ここが最もお伝えしたい部分です。「文系の数学」を2冊とも仕上げても、早慶や旧帝大の文系には届きません。曖昧に書かず、はっきりお伝えします。この本を最終到達点に据えている受験生は、その計画を見直す必要があります。参考書のレベル表記だけを見ていると、この距離感は掴みにくくなります。河合出版の表記は「易〜難」ですが、これはシリーズ内での相対的な位置を示すものです。

理由は問題の質にあります。難関大の文系数学では、典型問題の型を知っているだけでは処理しきれない問題が出ます。複数の解法を組み合わせる、条件を自分で整理して立式するといった作業が必要になるためです。「文系の数学」が扱うのは、その手前にある入試頻出の型です。型を固めるための本であって、応用力を鍛える本ではありません。

では何が必要になるのか。竹内個別としてお伝えする流れはこうです。青チャートやフォーカスゴールドで典型問題を固めたうえで、文系プラチカのような入試演習用の問題集に進むことになります。難関大を目指す場合、この一段が入らないと過去問で手が止まります。段階を飛ばすと、過去問を開いた時点で手が止まることになります。順番に見てください。

段階やること該当する問題集
型を作る入試頻出の解法パターンを習得文系の数学・基礎問題精講・黄チャート
網羅する解法の抜けをなくす青チャート・フォーカスゴールド
応用する初見問題で組み合わせる力をつける文系プラチカ
仕上げる志望校の形式に慣れる過去問

難関大の文系を目指すなら、この表の3段目が必須です。「文系の数学」で止まると、2段目までしか到達していない状態になります。参考書を1冊仕上げたことと、志望校に届く実力がついたことは別だということですね。ここを混同すると、努力の方向がずれたまま本番を迎えることになります。型を知っていることと、初見の問題でそれを取り出せることは違います。

▶ 関連記事:数学の参考書ルート|志望校別3ステップで迷わず完走する方法

早慶・旧帝の文系には2冊では届かない

位置づけは志望校によって変わります

竹内個別では、数学の参考書を3つのステップに分けて考えています。STEP1が橋渡し問題集、STEP2が合格問題集、STEP3が過去問という並びです。この枠組みのなかで「文系の数学」がどこに入るかというと、答えはひとつに決まりません。ここがこの本を扱ううえで最も注意が必要な点になります。この枠組みで見ると、参考書の役割が整理しやすくなります。

基本的には橋渡し問題集、つまりSTEP1として使うことが多い本です。ただし志望校のレベルによっては、この本が合格問題集(STEP2)になる場合もあります。日東駒専やMARCH下位を目標にする受験生にとっては、この2冊が入試本番で通用する到達点になりうるからです。目標とする大学の水準がこの2冊の到達点と重なるなら、それ以上を積む必要がないからです。

志望校のレベル文系の数学の位置づけその先に必要なもの
日東駒専〜MARCH下位STEP2(合格問題集)になりうる過去問
MARCH上位〜地方国公立STEP1(橋渡し問題集)青チャート等 → 過去問
早慶・旧帝STEP1(橋渡し問題集)網羅系 → 文系プラチカ → 過去問

同じ本でも、誰が使うかで役割が変わるということですね。この判断を間違えると、2つの失敗が起こります。難関大志望なのにこの本をゴールにしてしまうケースと、逆に到達点として十分なのに不安から次々と問題集を足してしまうケースです。どちらも時間の使い方としては損になります。いずれも避けたい失敗です。難関大志望なのにこの本をゴールにしてしまうケースと、到達点として十分なのに不安から問題集を足し続けるケースの2つです。

自分の志望校でこの本がどちらの役割になるのかを、始める前に決めてください。そこが決まらないまま進めると、終わったあとに何をすればいいか分からなくなります。竹内個別では入塾時の確認テストと志望校から、この判断を先に行っています。順序が逆になると、終わったあとに迷うことになります。竹内個別では確認テストと志望校から、この判断を先に済ませています。

▶ 関連記事:基礎問題精講のレベルと使い方|青チャートとどっちを選ぶか

志望校によって位置づけが変わる

青チャートとどちらを使うか

「文系の数学と青チャートはどちらがいいか」という比較をよく見かけますが、竹内個別としての答えは明確です。そもそもレベルが違うので、比較する対象ではありません。この2冊は並べて選ぶものではなく、必要な段階が違う本だと考えてください。並べて選ぶものではなく、必要になる段階が違う本だと考えてください。同じ「数学の問題集」でも、想定している学力帯が重なっていません。

青チャートは偏差値55〜60以上の生徒が使う本です。網羅系と呼ばれるとおり、収録している解法パターンの数が多く、1冊あたり約300題の例題が入っています。3冊揃えれば約900題という分量になり、これを回しきるには相応の基礎力と時間が必要です。基礎が固まっていない状態で手を出すと、1問ごとに解説を読む時間が増えて周回速度が落ちます。

文系の数学(習得編)青チャート
対象の偏差値50〜5555〜60以上
問題数273題(1冊)約900題(3冊)
役割入試頻出の型を作る解法パターンを網羅する
範囲数Ⅰ・A・Ⅱ・B・C数Ⅲ・Cを含む

どちらを勧めるかは志望校によって変わります。一律にこちらがいいと言えるものではありません。文系で数学をそこまで重く使わない大学であれば「文系の数学」で十分ですし、数学の配点が高い国公立を狙うなら網羅系が必要になります。受験する大学の配点と出題傾向から逆算して決めてください。志望校の配点と出題傾向から逆算するのが確実です。

▶ 関連記事:青チャートのレベルと使い方|例題だけでいい?終わらせる時期も解説

文系の数学と青チャートはレベルが違う

2冊の使い分け

「重要事項完全習得編と実戦力向上編は両方やるべきか」という質問もよく出ます。これについても、全員が2冊とも通す必要はありません。つなぐ場合もあれば、片方で終える場合もあるというのが実際のところです。2冊1セットとして紹介している解説記事もありますが、竹内個別の考え方は少し違います。判断の基準を整理します。

判断の基準は志望校です。最終的にどこまで到達する必要があるかによって、2冊目に進むかどうかが決まります。日東駒専からMARCH下位が目標なら、習得編を仕上げた時点で過去問に入る選択もあります。一方で地方国公立やMARCH上位を狙うなら、実戦力向上編まで進んで演習量を確保する形になります。自分がどのケースに当てはまるかを確認してください。

こういう場合進め方
志望校のレベルが習得編の到達点と重なる習得編 → 過去問
もう一段の演習が必要習得編 → 実戦力向上編 → 過去問
難関大を狙う習得編 → 網羅系 → 文系プラチカ → 過去問

最終到達地点は生徒によって変わるということですね。参考書を何冊やったかで実力が決まるわけではありません。志望校に必要な水準に届いているかどうかがすべてです。2冊目に進むかどうかは、習得編を終えた段階で過去問を見て判断するのが確実になります。習得編を終えた段階で志望校の過去問を見て、届いているかどうかで決めるのが確実になります。

なお実戦力向上編は2026年6月に改訂されています。改訂前の版を持っている場合は、収録内容が変わっている可能性があります。中古で購入する場合や、先輩から譲り受けた場合は、版を確認してから使ってください。改訂前後で収録テーマ数が変わっています。改訂前は収録テーマ数が異なっていたため、古い解説記事の数字はそのまま当てはまりません。

独学で進められます

この本が自習に向くかどうかについては、独学で進められる本だとお答えできます。習得編は「問題・解答・解説講義・文系数学の必勝ポイント」という構成になっており、解き方だけでなく考え方の部分まで文章で説明されています。手元に解説があるので、学校の授業と切り離して進めることもできます。解き方だけでなく、なぜその解法を選ぶのかという考え方の部分まで文章で説明されているからです。

詰まりやすい分野も特にありません。文系範囲のなかで極端に解説が薄くなる単元があるわけではなく、全体を通して同じ密度で書かれています。数列や確率で手が止まる受験生は多いのですが、それはこの本の問題というより単元そのものの難しさによるものです。全体を通して同じ密度で書かれており、特定の単元だけ解説が薄くなるということはありません。

ただし数学という科目の性質として、参考書を読むだけで理解しきるのが難しい場面は出てきます。どれだけ解説が丁寧でも、読んで納得できない箇所は残るものです。そこで何時間も止まってしまうくらいなら、学校の先生に聞くか個別指導を使ってください。1問に時間をかけすぎないことのほうが、独学では重要になります。手が止まった時間は、そのまま進度の遅れになります。

何日で終わるかは、あなたの計画次第です

「何ヶ月で終わりますか」「何日かかりますか」という質問は、この本についても多く出ています。ただしこの問いには、万人に当てはまる答えがありません。1日に解ける問題数は、残り時間・他科目の負荷・現在の学力によって変わるからです。気になるのは当然ですが、答えは一つに決まりません。検索データでも、実戦力向上編について「何ヶ月」「何日」という問いが上位に並んでいます。

参考として、ペース別の試算を出しておきます。これは「このペースでやりなさい」という推奨ではありません。自分の計画を立てるときの目安として見てください。例題だけを回す場合と、演習問題まで含める場合で必要な日数が大きく変わります。自分の残り時間と照らし合わせてください。例題だけを回す場合と演習問題まで含める場合で、必要な日数は倍近く変わります。

進め方問題数1日5問なら1日10問なら
習得編の例題のみ158題約32日約16日
習得編を通す273題約55日約28日
2冊を通す483題約97日約49日

見ていただきたいのは、2冊を通すと1日10問でも約49日、1日5問なら約97日かかるという点です。さらにこれは1周した場合の数字なので、2周・3周すれば期間はそのまま2倍・3倍になります。1日5問で2周すれば194日、およそ6か月半です。この規模感を把握せずに始めると、計画が崩れます。1日5問で2周すれば194日、およそ6か月半になります。

だからこそお伝えしたいのは、1日何問やるかを自分で決めて、いつまでに終わらせるかを先に固めてくださいということです。入試日から逆算して、この本に使える日数を出す。その日数で問題数を割れば、1日あたりに解くべき問題数が出ます。参考書のペースは参考書が決めるのではなく、あなたの残り時間が決めるということですね。

▶ 関連記事:勉強計画の立て方|入試日から逆算する5ステップで合格をつかむ方法

難関大を狙うなら文系プラチカを計画に入れる

早慶や旧帝大の文系を目指す場合、「文系の数学」の先に何を置くかが問題になります。竹内個別としてお伝えするのは、文系プラチカのような入試演習用の問題集を必ず挟むということです。ここを飛ばして過去問に入ると、手が止まる場面が増えます。型は入っているのに得点にならない、という状態になりやすいからです。解けるはずの問題で手が止まる場面が増えます。

順序としては、典型問題を青チャートやフォーカスゴールドで固めたうえで、文系プラチカに進む形になります。網羅系を飛ばしていきなり演習用の問題集に入っても、解法の引き出しが足りずに解説を読むだけの時間が増えます。段階を踏むことで、1問から得られるものが変わってくるということですね。段階を踏むことで、1問から得られるものが変わってきます。

順番問題集この段階で身につくもの
1文系の数学入試頻出の型
2青チャート・フォーカスゴールド解法パターンの網羅
3文系プラチカ初見問題で組み合わせる力
4過去問志望校の形式への対応

難関大の文系数学で問われるのは、3段目の力です。条件を自分で整理し、複数の解法から適切なものを選ぶ作業になります。この力は型を覚える段階では身につきません。別の訓練が必要だと理解しておいてください。そこに使う時間を、最初から計画に入れておく必要があります。演習に充てる期間を、あらかじめ確保しておいてください。

逆にいえば、志望校がその水準を求めていないなら、3段目は不要です。必要な段階まで進んで、そこで止めるのが最も効率的な使い方になります。全員が同じルートを通る必要はないということですね。自分の志望校が何段目までを求めているのかを、先に確認してください。全員が同じルートを通る必要はありません。過剰な演習は、他科目に回せたはずの時間を削ります。

--- ## 竹内個別はあえて推奨していません

正直にお伝えすると、竹内個別ではこの2冊をあえて推奨してはいません。本の質が低いからではありません。ここまで書いてきたとおり、独学で進められるよくできた問題集です。ただし積極的に勧めた実績がない、というのが実際のところです。ここは立場をはっきりさせておきたいところです。良い本かどうかと、勧めるかどうかは別の問題になります。理由を順にお伝えします。

理由は、この本でなければならない理由が特にないからです。文系の受験生が入試頻出の型を身につけるという目的であれば、基礎問題精講や黄チャートでも同じことができます。学校で配られた問題集がある場合は、まずそれを使うほうが合理的です。手元にある1冊を完走するほうが、新しく買った1冊を途中でやめるよりはるかに価値があります。

逆にいえば、この本を使うことに問題があるわけでもありません。すでに持っているなら、そのまま進めて構いません。書店で手に取って解説が読みやすいと感じたなら、それも十分な選択理由になります。参考書選びに時間をかけるより、1問でも多く解くほうが結果につながるということですね。河合塾の講師が書いた本で、解説の質そのものは安定しています。

竹内個別としてお伝えしたいのは、どの本を選ぶかより、選んだ本を最後まで完走することのほうが重要だということです。途中でやめて別の本に移る受験生ほど、どの本も中途半端なまま入試を迎えます。完走速度が合否を分けるということですね。**完走速度が合否を分けます。書店で新しい本を眺めている時間も、実際には受験までの残り時間から引かれています。

理系が使う必要はありません

競合の解説記事では「文系の数学は理系でも使えるか」という論点を扱っているものがありますが、竹内個別としての答えは明確です。理系の受験生があえて使う必要はありません。理系の受験生が候補に入れる場面は、ほとんどありません。理由は範囲にあります。文系向けと銘打たれた本を理系が使う場面があるのか、という疑問はもっともです。

理由はシンプルで、この本は数学Ⅲ・Cを含まないからです。理系の入試では数Ⅲ・Cが出題の中心になるため、文系範囲だけを固めても対応しきれません。数Ⅰ・A・Ⅱ・B・Cの基礎固めをしたいのであれば、理系向けの問題集で同じ範囲をカバーできます。わざわざ文系向けの本を選ぶ理由がないということですね。数Ⅰ・A・Ⅱ・B・Cの基礎固めなら、理系向けの問題集で同じ範囲をカバーできます。

理系で基礎に不安がある場合は、基礎問題精講や黄チャートといった選択肢のほうが素直です。数Ⅲ・Cまで同じシリーズで揃うため、そのまま次の段階に進めます。シリーズを揃えられることは、思っているより大きな利点になります。進度の感覚が変わらないからです。進度の感覚が変わらないことは、思っているより大きな利点になります。

文系の数学を使うなら、優先順位はこうなります

ここまで整理した内容を、実際の進め方に落とし込みます。参考書のレベルを知ること自体が目的ではありません。何にどれだけ時間を使うかを決めるために調べるということですね。以下の順序で組み立ててください。同じ1時間でも、どの作業に使うかで得点への効き方が変わります。優先順位は次の順序になります。以下の順序で組み立ててください。

1. 志望校を決めて、この本が橋渡しか合格問題集かを判断する(最初にやること) 2. 習得編の例題158テーマから始める(型を作る段階) 3. 入試日から逆算して、この本に使える日数を先に固める 4. 習得編を終えたら過去問を見て、2冊目に進むか決める 5. 難関大志望なら、網羅系と文系プラチカを計画に入れる 6. 1問に時間をかけすぎない。詰まったら人に聞く

この順序で共通しているのは、志望校から逆算して決めるという点です。参考書は単体で価値が決まるものではなく、志望校との距離のなかで役割が決まります。同じ本が、ある受験生にはゴールで、別の受験生には出発点になるということですね。どの本を使うかより、志望校に必要な水準へ届いているかが問われます。最初の1つが決まらないと、残りの5つも決められません。

そしてもう一度お伝えします。早慶・旧帝の文系を目指すなら、この2冊はゴールではありません。網羅系で解法を揃え、文系プラチカで初見問題に対応する力をつけ、そこから過去問に入る。この道のりを最初に把握しておいてください。**距離を知らないまま走り始めるのが、いちばん危険です。必要な冊数も期間も、志望校によって倍近く変わってきます。

▶ 関連記事:フォーカスゴールドのレベルと使い方|青チャートとどっちがいい?

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FAQ

Q1. 文系の数学はどのレベルの参考書ですか?

A. 重要事項完全習得編で偏差値50〜55、大学でいうと日東駒専からMARCH下位が目安です。教科書レベルが一通り入っている前提で、入試頻出の型を身につける段階の問題集になります。実戦力向上編はその一段上に位置します。河合出版の公式レベル表記は「易〜難」ですが、実際に取り組む生徒の学力帯としてはこの範囲が中心です。

Q2. 2冊を仕上げれば早慶や旧帝に届きますか?

A. 届きません。難関大の文系数学では、典型問題の型を知っているだけでは処理しきれない問題が出ます。青チャートやフォーカスゴールドで解法を網羅したうえで、文系プラチカのような入試演習用の問題集を挟む必要があります。この本をゴールに設定すると、志望校との距離が縮まらないまま時間が過ぎることになります。この本をゴールに設定すると、志望校との距離が縮まらないまま時間が過ぎます。

Q3. 問題数は何問ありますか?

A. 重要事項完全習得編が例題158テーマ+演習問題115題で計273題、実戦力向上編が例題97テーマ+演習問題113題で計210題です。2冊合わせて483題になります。なお他社の解説記事では152問や272問といった数字も見かけますが、河合出版の公式表記とは一致しません。この記事では出版社の数字を採用しています。

Q4. 実戦力向上編まで進むべきですか?

A. 志望校によります。日東駒専からMARCH下位が目標なら、習得編を仕上げた時点で過去問に入る選択もあります。地方国公立やMARCH上位を狙うなら、実戦力向上編まで進んで演習量を確保する形が現実的です。習得編を終えた段階で過去問を見て、届いているかどうかで判断してください。参考書を何冊やったかではなく、志望校に必要な水準に届いているかで判断してください。

Q5. 青チャートとどちらを使うべきですか?

A. そもそもレベルが違うので、比較する対象ではありません。青チャートは偏差値55〜60以上の生徒が使う本で、1冊あたり約300題、3冊で約900題という分量です。文系の数学は273題で、入試頻出の型を作る段階の本になります。どちらを使うかは志望校の配点と出題傾向から逆算して決めてください。基礎が固まっていない状態で青チャートに手を出すと、周回速度が大きく落ちます。

Q6. 何ヶ月くらいで終わりますか?

A. 万人に当てはまる答えはありません。試算としては、2冊483題を1日5問なら約97日、1日10問なら約49日かかります。2周・3周すれば期間はそのまま2倍・3倍です。入試日から逆算してこの本に使える日数を出し、問題数で割って1日あたりの目標を決めてください。ペースは本が決めるものではなく、残り時間が決めるものです。

Q7. 独学で進められますか?

A. 進められます。「問題・解答・解説講義・文系数学の必勝ポイント」という構成で、解き方だけでなく考え方まで文章で説明されています。詰まりやすい分野も特にありません。ただし読んで納得できない箇所は必ず出てくるので、そこで何時間も止まるくらいなら学校の先生に聞くか個別指導を使ってください。1問に時間をかけすぎないことのほうが、独学では重要になります。

Q8. 理系でも使えますか?

A. あえて使う必要はありません。この本は数学Ⅲ・Cを含まないため、理系の入試には対応しきれないからです。数Ⅰ・A・Ⅱ・B・Cの基礎固めが目的なら、基礎問題精講や黄チャートなど理系範囲まで揃うシリーズを選ぶほうが素直です。同じシリーズで数Ⅲ・Cまで進める利点は、思っているより大きくなります。文系範囲だけを固めても、理系の入試には対応しきれません。

Q9. 重要事項完全習得編が終わったら何をすればいいですか?

A. 志望校の過去問を見て、届いているかどうかを確認してください。日東駒専からMARCH下位が目標で、過去問に手が届くようなら、そのまま過去問演習に入って構いません。届いていない場合は、実戦力向上編に進むか、青チャートなどの網羅系で解法の抜けを埋める段階になります。次の1冊を決めるのは、過去問を見てからです。

Q10. 実戦力向上編まで仕上げるとどこまでいけますか?

A. MARCH上位から地方国公立あたりが目安になります。早慶や旧帝大の文系には届きません。難関大を狙うなら、網羅系で解法を揃えたうえで文系プラチカのような入試演習用の問題集を挟む必要があります。2冊を終えた時点で志望校の過去問を解いてみて、得点率から次の段階を判断してください。なお実戦力向上編は2026年6月の改訂版で、収録テーマは97になっています。

Q11. 文系プラチカはいつ入れればいいですか?

A. 青チャートやフォーカスゴールドで典型問題を固めたあとです。網羅系を飛ばして先に進むと、解法の引き出しが足りずに解説を読むだけの時間が増えます。順番としては、文系の数学で型を作り、網羅系で解法を揃え、文系プラチカで初見問題への対応力をつけ、そこから過去問に入る流れになります。志望校がその水準を求めていない場合は不要です。

まとめ

河合出版の「文系の数学」は、重要事項完全習得編(例題158テーマ+演習115題)と実戦力向上編(例題97テーマ+演習113題)の2冊構成です。2冊合わせて483題、価格は各1,320円になります。レベルの目安は偏差値50〜55、日東駒専からMARCH下位の帯です。なお実戦力向上編は2026年6月に改訂されているので、情報は最新版で確認してください。

最も重要な点をもう一度お伝えします。この2冊を仕上げても、早慶や旧帝大の文系には届きません。難関大を目指すなら、青チャートやフォーカスゴールドで解法を網羅し、文系プラチカで初見問題に対応する力をつけてから過去問に入る必要があります。この本は型を作る段階の問題集であって、応用力を鍛える本ではありません。

そして注意していただきたいのが、位置づけが志望校によって変わるという点です。竹内個別のカリキュラムでは橋渡し問題集(STEP1)として使うことが多いのですが、日東駒専やMARCH下位が目標なら合格問題集(STEP2)になりえます。同じ本でも、誰が使うかで役割が変わるということですね。始める前にどちらの役割なのかを決めてください。

竹内個別としては、この2冊をあえて推奨してはいません。質が低いからではなく、この本でなければならない理由が特にないからです。基礎問題精講や黄チャートでも同じ目的を果たせますし、学校で配られた問題集があるならそちらを優先するほうが合理的になります。すでに持っているなら、そのまま完走してください。手元にある1冊を完走するほうが、新しく買った1冊を途中でやめるよりはるかに価値があります。

最後にペースについてお伝えします。1日何問やるかは人によって変わります。残り時間も他科目の負荷も違うからです。参考書のペースは参考書が決めるのではなく、あなたの残り時間が決めます。入試日から逆算して、この本に使える日数を先に固めてください。そこが決まってから、1冊目を開きましょう。この記事に出した49日・97日という数字も、あくまで試算です。

著者:竹内個別戦略室 尾崎侑絃(岐阜大学医学部医学科卒業・医師免許保持)
監修:竹内個別塾長 竹内壮志(名古屋大学工学部卒業)

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