文系プラチカのレベルと使い方|東大・京大・一橋以外はやりすぎ

文系数学の良問プラチカは、河合出版の「入試精選問題集」シリーズに入る文系向けの問題集です。現行の四訂版は159題を収録しており、数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Cの範囲を扱います。文系の受験生が最後に手を伸ばす1冊として名前が挙がることの多い問題集です。書店では青い表紙で並んでおり、理系版と見分けがつきにくいので注意してください。

最初にはっきりお伝えしておきます。この本は東大・京大・一橋・早慶を目指す受験生のための合格問題集です。それ以外の大学を志望している場合、やりすぎ、つまりオーバーワークになることがあります。難しい問題集をやれば力がつくというものではありません。志望校が求めている水準を超えた演習は、他科目に回せたはずの時間を削ります。

もうひとつ、検索でよく見かける疑問にも答えておきます。文系プラチカは理系プラチカより難しいというのは事実です。同じシリーズなのに文系版のほうが難しいという逆転が起きており、そのため理系の受験生が文系プラチカを使う場面も出てきます。この記事では河合出版の公式データと竹内個別の方針から、レベル・使い方・始める時期を整理します。竹内個別は大学受験全般に対応するオンライン個別指導塾です。参考書の読み解きと方針の解説としてお読みください。

この記事でわかること

  • 文系プラチカのレベルと問題数(河合出版の公式データ・四訂版159題)
  • 文系プラチカが理系プラチカより難しい理由と、難易度の序列
  • 東大・京大・一橋・早慶以外ではオーバーワークになる理由
  • 3ステップカリキュラムでの位置づけ(合格問題集)
  • 高3の11月までに終わらせるという時期の目安

文系プラチカのレベルと問題数

文系数学の良問プラチカは、河合出版から出ている入試精選問題集のひとつです。著者は鳥山昌純氏で、現行版は四訂版にあたります。新課程に対応して数学Cが範囲に加わり、収録問題数も変わっています。まず公式の数字から確認してください。同シリーズには理系版が2冊あり、そちらは著者も難易度も別になります。収録内容も旧版から変わっています。

四訂版は159題・362ページ

以下は河合出版が公表している数字です(出典:河合出版・学参ドットコム 商品ページ)。他社の解説記事では「149問」と書かれていることが多いのですが、これは旧版である三訂版の数字です。現行の四訂版とは異なるので注意してください。版が変わると問題数も範囲も変わるため、購入前の確認が必要になります。購入前に版表記を確かめてください。

項目内容
収録問題数159題
ページ数362ページ
定価(税込)1,375円
発売日2023年10月6日
著者鳥山昌純
範囲数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・C

新課程では数学Cが範囲に加わっています。旧版を持っている場合、ベクトルなどの扱いが現行の入試範囲と合わない可能性があります。中古で購入する場合や先輩から譲り受けた場合は、版を必ず確認してください。書店で新しく買うなら四訂版になります。旧課程で数学Bに入っていたベクトルが、新課程では数学Cに移っています。

159題という分量は、網羅系の問題集と比べると大幅に少なくなります。青チャートが1冊約300題、3冊で約900題であることを考えると、5分の1以下です。これは網羅系のように解法を広く覚える本ではなく、選び抜かれた良問で応用力を鍛える本だからです。1問あたりの重さがまったく違うということですね。少ない問題数で仕上げる設計だと理解しておいてください。

レベルは早慶・旧帝以上

竹内個別としてお伝えする到達レベルは、早慶・旧帝大以上、具体的には東大・京大・一橋というあたりです。文系数学のなかでは最上位に位置する問題集だと考えてください。河合出版の同シリーズの理系版は「標準〜発展」とされていますが、文系版はそれより上を狙う設計になっています。文系で数学が主要科目になる大学が対象だと考えてください。

この本を仕上げれば難関大の文系数学で戦えるようになります。逆にいえば、そこまでの水準を求められていない大学を志望している場合、この本は必要ありません。必要な段階まで進んで、そこで止めるのが最も効率のよい使い方になります。志望校が求める水準を先に確認してください。背伸びして手を出す本ではありません。過去問の難易度から逆算して判断できます。

参考書のレベルはわかっても、そこに届くまでに何をどの順で何時間やるかは別の話です。参考書ごとの所要時間と目標正答率まで入ったロードマップを無料でお配りしています。

文系プラチカは理系プラチカより難しい

検索データで最も需要が大きいのが「文系と理系はどちらが難しいですか」という問いです。答えは明確で、文系プラチカのほうが難しくなります。同じ「良問プラチカ」というシリーズ名なのに、文系版のほうが難易度が高いという逆転が起きているということですね。同じ質問が複数の言い回しで上位に並んでおり、多くの受験生が迷っている論点です。

シリーズ3冊を難易度順に並べるとこうなります。竹内個別の見立ても、一般に言われている序列と一致します。数字を見ると、収録問題数と難易度が対応していないことがわかります。収録数が最も少ない理系ⅢCが、最も難しい位置に来ています。分量と難易度は比例しません。数字と難易度を並べて確認してください。問題数の少なさが、そのまま易しさを意味しないということですね。

難易度問題数ページ数定価
やさしい理系プラチカ ⅠAⅡBC165題354p1,375円
文系プラチカ ⅠAⅡBC159題362p1,375円
難しい理系プラチカ ⅢC80題178p1,320円

序列としては「理系ⅠAⅡBC ≪ 文系 ≦ 理系ⅢC」という形になります。理系のⅠAⅡBCが最もやさしく、文系版と理系ⅢCが同程度で最上位というのが一般的な評価です。同じ範囲を扱う理系ⅠAⅡBCと文系版で、これだけ難易度が離れているということですね。シリーズ名だけで難易度を判断すると読み違えます。同じ範囲を扱う2冊でも、想定する受験生が違うということですね。

なぜこうなるのかというと、想定している受験生と志望校が違うからです。理系版は理科2科目を抱える受験生が数Ⅲ・Cまで含めて仕上げる前提なので、ⅠAⅡBCの部分は標準レベルに抑えられています。一方で文系版は、数学が主要科目のひとつになる東大・京大・一橋の文系受験生を想定しているため、1問1問が重くなります。

理系が文系プラチカを使うことはあるか

この難易度の逆転から、「理系だが数ⅠAⅡBCの演習に文系プラチカを使いたい」という発想が出てきます。検索データでも「理系でも使えますか」という質問が繰り返し出ています。竹内個別としても、理系の生徒に文系プラチカを勧めることはあります。実際に検討する受験生は毎年います。竹内個別としても、理系の生徒に勧めることはあります。

ただし基本的には上級問題精講を勧めることのほうが多いというのが実際のところです。理系の受験生が数ⅠAⅡBCの応用力を鍛えたいのであれば、理系向けに作られた問題集のほうが素直に選べます。文系プラチカを使うのは、あくまで選択肢のひとつだと考えてください。同じ理系向けのシリーズで揃えられる利点もあります。

▶ 関連記事:数学の参考書ルート|志望校別3ステップで迷わず完走する方法

プラチカは文系のほうが難しい

東大・京大・一橋・早慶以外はオーバーワークです

ここが最もお伝えしたい部分です。文系プラチカは、東大・京大・一橋・早慶を目指す受験生のための問題集です。それ以外の大学を志望している場合、やりすぎになる可能性が高くなります。この判断を誤ると、時間の使い方として大きな損失になります。対象がはっきり限られた本だということですね。対象を外れると得るものが少なくなります。

難しい問題集に取り組むこと自体が目的になってしまう受験生は少なくありません。しかし入試で問われるのは、志望校が出す水準の問題を確実に処理する力です。その水準を超えた問題に時間を使っても、得点には結びつきません。むしろ他科目に回せたはずの時間が削られます。難易度の高い本を持っていると安心する気持ちは分かります。

志望校文系プラチカ代わりにやること
東大・京大・一橋・早慶必要
MARCH・地方国公立オーバーワーク網羅系を完成させて過去問へ
日東駒専不要基礎レベルの完成を優先

志望校の過去問を見れば、必要かどうかは判断できます。過去問に手が届いていて、さらに上積みが必要だと感じるなら検討する価値があります。そうでないなら、網羅系の抜けを埋めるか、過去問演習に時間を使うほうが効果的です。背伸びした1冊より、身の丈に合った1冊の完成度が合否を分けます。迷ったら実際に1年分を解いてみてください。

医学部志望は文系プラチカを使いません

医学部を目指している場合についても触れておきます。竹内個別では、医学部志望の生徒に文系プラチカを使わせることはありません。そもそも文系範囲だけの問題集なので、数Ⅲ・Cが出る医学部入試には対応しきれないからです。文系向けの問題集を医学部志望が使う場面があるのか、という疑問に答えておきます。結論から言えば、その場面はありません。

地方国公立の医学部であれば、そこまでの難易度は必要ありません。竹内個別が配点を整理してきた医学部の多くは、典型問題を100%取り切ることが到達目標になります。難問対策として一段上を要求される大学でも、使うとすれば理系プラチカのほうです。文系プラチカを選ぶ理由は、医学部志望にはありません。使うとすれば理系プラチカのほうになります。

▶ 関連記事:医学部受験の対策と勉強法|典型問題100%が合格の鍵

文系プラチカが必要な志望校

3ステップカリキュラムでは合格問題集にあたります

竹内個別では、数学の参考書を3つのステップに分けて考えています。STEP1が橋渡し問題集、STEP2が合格問題集、STEP3が過去問という並びです。この枠組みのなかで、文系プラチカはSTEP2の合格問題集に位置します。役割をはっきりさせておきましょう。参考書の役割を整理するための枠組みです。この枠組みのなかでの位置をはっきりさせておきましょう。

ステップ位置づけ該当する問題集
STEP1橋渡し問題集基礎問題精講・黄チャート・文系の数学
STEP2合格問題集青チャート・フォーカスゴールド・文系プラチカ
STEP3入試演習過去問

ここで重要なのは、同じSTEP2でも志望校によって使う問題集が変わるという点です。MARCHや地方国公立が目標なら青チャートやフォーカスゴールドがSTEP2になります。東大・京大・一橋・早慶を目指す場合に、そのSTEP2が文系プラチカになるということですね。STEP2という段は同じでも、中身は志望校で入れ替わります。

つまり文系プラチカは、難関大志望者にとっての合格問題集です。全員が通る道ではありません。自分の志望校でSTEP2にあたるのがどの問題集なのかを、始める前に確認してください。ここを取り違えると、STEP2に必要以上の時間を使うことになります。誰にとってもSTEP2になるわけではありません。始める前に、自分の志望校での位置を確認してください。

なお、文系の数学(重要事項完全習得編・実戦力向上編)はSTEP1の橋渡し問題集にあたります。文系の数学 → 網羅系 → 文系プラチカ → 過去問という流れが、東大・京大・一橋を目指す場合の基本形になります。段階を飛ばすと、1問あたりの負荷が上がりすぎて進まなくなります。型を作ってから網羅し、そのうえで応用に進むという順序です。

▶ 関連記事:文系の数学のレベルと使い方|2冊でも早慶・旧帝には届きません

3ステップカリキュラムでの位置づけ

文系プラチカの前に終わらせておくこと

文系プラチカは応用力を鍛える問題集なので、土台がない状態で手を出すと機能しません。1問に30分かけても手が動かない、という状態が続くだけになります。着手する前に、次の2つを終えておいてください。順番を守ることで、1問から得られるものが変わります。手が止まっている時間は演習になっていないということですね。

ひとつめはSTEP1の橋渡し問題集です。基礎問題精講・黄チャート・文系の数学(重要事項完全習得編)などで、入試頻出の型を身につける段階になります。ここが抜けていると、プラチカの問題を読んでも解法の候補が浮かびません。候補が浮かばない状態で悩む時間は、演習になっていないということですね。型がない状態では、解法の候補が浮かびません。

ふたつめは網羅系での解法の整理です。青チャートやフォーカスゴールドで、解法パターンを一通り揃えます。プラチカで問われるのは「どの解法を選ぶか」なので、選択肢そのものが手元にないと選びようがありません。網羅系はその選択肢を用意する作業だと考えてください。解法の引き出しが少ないほど、1問にかかる時間は延びます。

段階やること目安の時期
STEP1橋渡し問題集で型を作る高2〜高3春
STEP2前半網羅系で解法を揃える高3春〜夏
STEP2後半文系プラチカで応用力をつける高3夏〜11月
STEP3過去問演習高3の11月〜

この2つが終わっていない状態でプラチカに入っても、解説を読むだけの時間になります。急がば回れで、土台を先に固めるほうが結果的に速くなるということですね。着手の判断は、網羅系の到達度で決めてください。網羅系がどこまで固まったかで判断できます。土台ができていれば、同じ問題でも見え方が変わります。遠回りに見えても、土台を固めるほうが最終的には速くなります。

--- ## 文系プラチカの使い方

159題という分量を、どう回すかについてお伝えします。この本は網羅系のように「解法を覚えて次へ進む」使い方には向きません。1問ずつ考え抜く時間を確保することが前提になります。ここを勘違いすると、量をこなしただけで力がつかない状態になります。網羅系を回してきた感覚のまま入ると、進度が合わずに戸惑うことになります。

まず1問に対して、最低でも10分は自力で考えてください。手が止まってもすぐに解説を見ないことが重要になります。この本で鍛えたいのは、条件を整理して解法を選ぶ力だからです。その作業は、自分で考えている時間にしか発生しません。解説を読んで理解するだけでは、初見の問題で手が動くようにはなりません。考えている時間そのものが訓練になります。

一方で、時間をかければいいというものでもありません。10分から15分考えて方針がまったく立たないなら、それは今の実力と問題の距離が離れすぎているサインです。そこで1時間粘るより、解説を読んで解法を吸収し、後日もう一度解き直すほうが効率的になります。粘る時間と切り上げる判断のバランスが問われます。見極めも実力のうちです。

やること目安
自力で考える最低10分。すぐに解説を見ない
切り上げる10〜15分で方針が立たなければ解説へ
解説を読む解法の選び方に注目する
解き直す印をつけて後日もう一度

そして間違えた問題には必ず印をつけてください。159題を機械的に何周もするより、できなかった問題を確実に潰すほうが得点につながります。2周目は印のついた問題だけに絞れば、時間も大幅に短縮できます。11月という締切から逆算すると、この解き直しの時間を確保できるかどうかが分かれ目になります。

--- ## 高3の11月までに終わらせる

「いつから始めればいいか」「いつまでに終わらせるべきか」という質問も、検索データの上位に入っています。竹内個別としての目安をお伝えします。終わらせる時期は高校3年生の11月までです。ここは動かせない締切だと考えてください。時期の問いは、志望校が決まっていれば逆算で答えが出ます。締切から先に決めるのが確実です。

理由は3ステップカリキュラムの構造にあります。STEP2(合格問題集)を11月までに終えて、そこからSTEP3(過去問演習)に入るという設計だからです。過去問演習には相応の期間が必要になります。11月を過ぎてもSTEP2をやっているようでは、志望校の形式に慣れる時間が取れません。締切から逆算する形になります。

時期やること
高3の夏休み〜文系プラチカに着手(早いほどよい)
高3の11月まで文系プラチカを完成させる
高3の11月〜過去問演習(STEP3)

始める時期は高3の夏休みからでも間に合います。ただし早めに始めたほうがいいというのが率直なところです。159題は網羅系より少ないとはいえ、1問あたりの負荷が高いので、想定より時間がかかります。夏休みに着手できれば、11月までに余裕を持って回せます。部活を終えた時期から着手する受験生が多くなります。夏休みに着手できれば、11月まで余裕を持って回せます。

逆算して考えてください。夏休みから11月までは約4か月です。159題を4か月で終えるなら、1週間あたり10題前後というペースになります。ただしこれは1周した場合の数字で、間違えた問題を解き直す時間は別に必要です。この規模感を把握してから着手を決めてください。着手が遅れるほど、1日あたりの負担が増えていきます。

▶ 関連記事:勉強計画の立て方|入試日から逆算する5ステップで合格をつかむ方法

高3の11月までに終わらせる

何日で終わるかは、あなたの計画次第です

所要期間については「何ヶ月かかりますか」「1周するのに何時間かかりますか」という質問が多く出ています。ただしこの問いには、万人に当てはまる答えがありません。1日に解ける問題数は、残り時間・他科目の負荷・現在の学力によって変わるからです。1問の重さが違うので、他の問題集の感覚は当てはまりません。1日に解ける数は人によって変わります。

参考として、ペース別の試算を出しておきます。これは「このペースでやりなさい」という推奨ではありません。自分の計画を立てるときの目安として見てください。文系プラチカは1問あたりの負荷が高いので、網羅系と同じペースでは進みません。自分の残り時間と照らし合わせる材料として使ってください。網羅系と同じペースでは進みません。

ペース1周2周
1日2題約80日約160日
1日3題約53日約106日
1日5題約32日約64日

見ていただきたいのは、1日2題でも1周に約80日かかるという点です。夏休みに始めて11月までという期間を考えると、1日3題前後のペースが現実的になります。ただし1問に30分以上かける必要がある問題も含まれるため、机に向かう時間としては相応の負担になります。解き直しの時間は、この日数には含まれていません。

だからこそお伝えしたいのは、1日何問やるかを自分で決めて、いつまでに終わらせるかを先に固めてくださいということです。11月という締切から逆算して、この本に使える日数を出す。その日数で159題を割れば、1日あたりに解くべき問題数が出ます。参考書のペースは参考書が決めるのではなく、あなたの残り時間が決めるということですね。

竹内個別が推奨するのは難関大志望者です

これまでの参考書記事では「積極的には推奨していません」という立場をとることが多かったのですが、文系プラチカについては違います。東大・京大・一橋・旧帝大を目指す受験生には、竹内個別としてこの本を推奨します。対象がはっきりしている問題集だからです。使うべき受験生と、使うべきでない受験生がはっきり分かれるからです。

理由は、この水準の大学の文系数学で求められる力が、網羅系だけでは身につかないからです。条件を自分で整理し、複数の解法から適切なものを選ぶ作業が必要になります。文系プラチカはその訓練ができる問題集として、選び抜かれた159題を揃えています。解法を覚える段階と、選び取る段階は別の訓練になります。選び抜かれた159題が、その訓練に向いています。

ただし繰り返しになりますが、推奨するのはその層に限られます。MARCHや地方国公立を目指す受験生に勧めることはありません。同じ本が、ある受験生には必要で、別の受験生にはオーバーワークになるということですね。この区別が、参考書選びで最も重要な判断になります。全員に勧められる万能の1冊ではありません。同じ1冊が、人によって必要にも過剰にもなります。

自分がどちらに当てはまるかは、志望校で決まります。難しい問題集をやりたいという気持ちではなく、志望校が求める水準で判断してください。背伸びは、時間という取り返しのつかないコストを伴います。気持ちではなく、志望校の出題水準が基準になります。難易度の高い本に手を出す前に、そこを確認してください。背伸びは時間というコストを伴います。

文系プラチカを使うなら、優先順位はこうなります

ここまで整理した内容を、実際の進め方に落とし込みます。参考書のレベルを知ること自体が目的ではありません。何にどれだけ時間を使うかを決めるために調べるということですね。以下の順序で組み立ててください。同じ1時間でも、どの作業に使うかで得点への効き方が変わります。以下の順序で組み立ててください。判断の材料はすべて出しました。

1. 志望校を確認する。東大・京大・一橋・早慶でなければ、この本は不要 2. STEP1(橋渡し)とSTEP2の網羅系を先に完成させる 3. 高3の夏休みまでに着手し、11月までに終わらせる計画を組む 4. 1日何題やるかを、11月から逆算して決める 5. 1問に時間をかける前提で、机に向かう時間を確保する 6. 11月からは過去問演習(STEP3)に移る

この順序で共通しているのは、志望校から逆算して決めるという点です。参考書は単体で価値が決まるものではなく、志望校との距離のなかで役割が決まります。最初の1つが決まらないと、残りの5つも決められません。1つめの判断がすべての前提になります。志望校が決まらなければ、必要な問題集も決まりません。

そしてもう一度お伝えします。この本は誰にとっても必要な1冊ではありません。東大・京大・一橋・早慶を目指すなら合格問題集として必要ですが、それ以外の大学ではオーバーワークになります。必要な段階まで進んで、そこで止める。これが最も効率のよい参考書の使い方になります。自分に必要かどうかを、志望校の水準で決めてください。

▶ 関連記事:青チャートのレベルと使い方|例題だけでいい?終わらせる時期も解説

▶ 関連記事:理系プラチカのレベルと使い方|典型問題で旧帝大まで届く

▶ 関連記事:上級問題精講のレベルと使い方|1問20分粘れないなら不要

FAQ

Q1. 文系プラチカと理系プラチカはどちらが難しいですか?

A. 文系プラチカのほうが難しくなります。難易度の序列は「理系ⅠAⅡBC ≪ 文系 ≦ 理系ⅢC」で、理系のⅠAⅡBCが最もやさしく、文系版と理系ⅢCが同程度で最上位です。理系版は理科2科目を抱える受験生が数Ⅲ・Cまで仕上げる前提なので、ⅠAⅡBCは標準レベルに抑えられています。文系版は東大・京大・一橋の文系受験生を想定しているため1問が重くなります。

Q2. 文系プラチカのレベルはどのくらいですか?

A. 早慶・旧帝大以上、具体的には東大・京大・一橋を目指す受験生向けです。文系数学のなかでは最上位に位置する問題集になります。3ステップカリキュラムでいえば、難関大志望者にとってのSTEP2(合格問題集)にあたります。MARCHや地方国公立が目標なら、STEP2は青チャートやフォーカスゴールドになります。

Q3. 問題数は何問ありますか?

A. 現行の四訂版で159題です。ページ数は362ページ、定価は1,375円(税込)になります。他社の解説記事では「149問」と書かれていることが多いのですが、これは旧版である三訂版の数字です。四訂版は新課程に対応して数学Cが範囲に加わっているため、旧版とは内容が異なります。購入時は表紙の版表記を確認してください。

Q4. 理系ですが文系プラチカを使ってもいいですか?

A. 使うことはあります。文系プラチカのほうが理系ⅠAⅡBCより難しいため、数ⅠAⅡBCの応用力を鍛える目的で選ぶ受験生がいます。ただし竹内個別としては、上級問題精講を勧めることのほうが多くなります。理系向けに作られた問題集のほうが素直に選べるからです。文系プラチカは選択肢のひとつと考えてください。同じシリーズで揃えられる点も理由のひとつです。

Q5. 医学部志望でも使いますか?

A. 使いません。文系範囲だけの問題集なので、数Ⅲ・Cが出る医学部入試には対応しきれないからです。地方国公立の医学部であれば、そこまでの難易度も必要ありません。難問対策として一段上を要求される大学でも、使うとすれば理系プラチカのほうになります。文系プラチカを選ぶ理由は医学部志望にはありません。範囲が合わないという単純な理由です。

Q6. いつまでに終わらせるべきですか?

A. 高校3年生の11月までです。3ステップカリキュラムでは、STEP2(合格問題集)を11月までに終えて、そこからSTEP3(過去問演習)に入る設計になっています。11月を過ぎてもSTEP2をやっていると、志望校の形式に慣れる時間が取れません。着手は高3の夏休みからでも間に合いますが、早めに始めるほうが余裕を持って回せます。

Q7. 何ヶ月くらいかかりますか?

A. 万人に当てはまる答えはありません。試算としては、159題を1日2題なら約80日、1日3題なら約53日、1日5題なら約32日かかります。ただし1問に30分以上かける必要がある問題も含まれるため、机に向かう時間としては相応の負担になります。11月という締切から逆算して、1日あたりの目標を決めてください。

Q8. MARCH志望でも使ったほうがいいですか?

A. オーバーワークになる可能性が高いので、勧めません。MARCHや地方国公立が目標なら、青チャートやフォーカスゴールドといった網羅系を完成させて過去問に進むほうが効果的です。志望校が求める水準を超えた問題に時間を使っても得点には結びつかず、他科目に回せたはずの時間が削られます。過去問を見て判断してください。

Q9. 文系プラチカの前に何をやればいいですか?

A. STEP1の橋渡し問題集と、網羅系での解法整理の2つです。基礎問題精講や文系の数学で入試頻出の型を作り、青チャートやフォーカスゴールドで解法パターンを揃えてから着手してください。プラチカで問われるのは「どの解法を選ぶか」なので、選択肢が手元にないと選びようがありません。土台がない状態では、解説を読むだけの時間になります。

Q10. 何周すればいいですか?

A. 周回数より、間違えた問題を確実に解き直すことのほうが重要です。1周目で解けなかった問題に印をつけ、2周目はその問題に絞るのが効率的になります。159題を機械的に何度も回すより、できない問題を潰すほうが得点につながります。高3の11月という締切から逆算して、解き直しの時間を先に確保してください。

Q11. 新課程の四訂版と旧版はどう違いますか?

A. 四訂版は新課程に対応して数学Cが範囲に加わり、収録問題数も159題になっています。旧版の三訂版は149問で、範囲は数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bでした。旧課程で数学Bに入っていたベクトルが新課程では数学Cに移っているため、旧版のままだと現行の入試範囲と合いません。中古で購入する場合は版を必ず確認してください。

まとめ

文系数学の良問プラチカは、河合出版の入試精選問題集に入る文系向けの問題集です。現行の四訂版は159題・362ページ・1,375円で、数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Cを扱います。他社が書く「149問」は旧版の数字なので、購入時は版を確認してください。著者は鳥山昌純氏で、2023年10月の発売です。購入時は版を確認してください。

検索でよく聞かれる「文系と理系はどちらが難しいか」については、文系プラチカのほうが難しいというのが答えです。序列は「理系ⅠAⅡBC ≪ 文系 ≦ 理系ⅢC」で、想定している受験生と志望校が違うためにこの逆転が起きています。理系の受験生が文系プラチカを使う場面もありますが、竹内個別としては上級問題精講を勧めることのほうが多くなります。

最も重要な点をもう一度お伝えします。この本は東大・京大・一橋・早慶を目指す受験生のための合格問題集です。3ステップカリキュラムではSTEP2にあたります。それ以外の大学を志望している場合、オーバーワークになります。MARCHや地方国公立なら網羅系を完成させて過去問に進むほうが効果的ですし、医学部志望であれば文系プラチカを選ぶ理由はありません。

時期については、高3の11月までに終わらせるのが目安です。11月からはSTEP3の過去問演習に入る設計だからです。着手は夏休みからでも間に合いますが、1問あたりの負荷が高いぶん想定より時間がかかるので、早めに始めるほうが安全になります。夏休みに着手できれば、余裕を持って回せます。着手が遅れるほど1日あたりの負担が増えます。

最後にペースについてお伝えします。1日何題やるかは人によって変わります。残り時間も他科目の負荷も違うからです。参考書のペースは参考書が決めるのではなく、あなたの残り時間が決めます。11月という締切から逆算して、この本に使える日数を先に固めてください。そこが決まってから、1冊目を開きましょう。この記事に出した80日・53日という数字も、あくまで試算です。

著者:竹内個別戦略室 尾崎侑絃(岐阜大学医学部医学科卒業・医師免許保持)
監修:竹内個別塾長 竹内壮志(名古屋大学工学部卒業)

Follow me!

文系プラチカのレベルと使い方|東大・京大・一橋以外はやりすぎ” に対して2件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です