英熟語ターゲット1000のレベルと使い方|1周が軽いから20周できる

英熟語ターゲット1000は、旺文社が出している大学受験向けの熟語帳です。入試に出る1000熟語を「でる順」に並べた構成で、長年にわたって定番の位置を保っています。竹内個別が熟語帳を1冊挙げるとすれば、この本が第一候補になります。理由はシンプルで、1周が最も軽いからです。

熟語は10周から20周を回してようやく定着します。だとすれば、1周にかかる時間がそのまま総コストになる。熟語と意味が並んでいるだけのシンプルな構成は、地味に見えて実はここで効いてきます。英文を読む工程も、語源を理解する工程も挟まらないぶん、周回のスピードが落ちません。

ただし、この本を買う前に確認してほしいことがあります。手元のNextStageやVintageの熟語ページです。そこに載っている熟語で十分に戦える大学は少なくないので、新しい1冊を買う前に何割即答できるかを試してみてください。この記事ではレベルや使い方といった基本情報に加えて、竹内個別が実際の指導で使っている判断基準までお伝えします。

この記事でわかること

  • 英熟語ターゲット1000がどんな構成で、どのレベル向けなのか
  • 竹内個別がこの本を第一候補にする理由(1周の軽さ)
  • 買う前に確認すべきこと(文法書の熟語ページ)
  • 英→日の一方向で10〜20周という具体的な使い方
  • 関連書籍(実戦問題集・ターゲットR・カード版)の使い分け

熟語帳を1冊仕上げるのに何時間かかるのか。参考書ごとの所要時間は、記事では触れていない英語ロードマップにまとめてあります。

英熟語ターゲット1000とは?5訂版の構成

英熟語ターゲット1000の3つの特徴

英熟語ターゲット1000は、旺文社の「大学JUKEN新書」シリーズに入る熟語帳です。著者は花本金吾先生で、現在は5訂版が流通しています。入試英語の分析にもとづいて1000の熟語を厳選し、出題頻度の高い順に並べているのが基本的な作りです。同じシリーズの英単語ターゲット1900と並べて使う受験生が多く、書店でもセットで置かれていることがよくあります。

構成はいたってシンプルで、見開きに熟語と意味が並び、赤シートで意味を隠せるようになっています。余計な装飾がなく、ページを開いた瞬間から暗記に入れる設計です。出版社の説明によれば、入試で狙われやすい「意味」に絞って掲載しているとのこと(出典:旺文社公式サイト『英熟語ターゲット1000 5訂版』)。1つの熟語に複数の意味を並べず、まず覚えるべき意味を優先する作りになっています。

音声は無料でダウンロードでき、公式のアプリにも対応しています。移動時間に音で確認したい人や、紙とアプリを併用したい人にも使いやすい環境が整っている1冊です。関連書籍も充実していて、実戦問題集・英文で覚えるターゲットR・カード版・応用トレーニングなどが別売りで用意されています。これらの使い分けは後ほど詳しく書きます。

英熟語ターゲット1000のレベルはどのくらい?

到達レベルとしては、共通テストから難関大まで幅広く対応します。でる順で並んでいるので、前半を仕上げるだけでも共通テストレベルの熟語はかなりカバーできる構成です。後半に進むほど難度が上がっていき、最後まで仕上げれば難関私大や国公立二次でも戦えるだけの語彙になります。志望校のレベルに応じてどこまでやるかを調整できるのは、でる順配列の大きな利点といえるでしょう。

前提となる知識としては、英単語帳をある程度進めていることが望ましいところです。熟語は基本的な動詞と前置詞の組み合わせでできているので、単語の意味が入っていないと熟語として覚える負荷が上がります。とはいえ難解な単語が使われているわけではないので、単語帳を並行しながら進めることも十分可能です。この取り組みやすさも、1冊目に選ばれやすい理由になっています。

一方で、この本だけで英語が完成するわけではありません。あくまで熟語という一領域を埋める教材であって、単語・文法・解釈・長文の土台があってこそ機能します。熟語帳を仕上げたのに長文が読めないという場合、原因はたいてい熟語以外のところにあります。優先順位を間違えないことが、この教材を活かす前提になります。教材の性能ではなく、使う順番のほうが結果を左右する場面は多いものです。

版の違いについても触れておきます。現在の主流は5訂版ですが、4訂版など古い版を持っている受験生もいるでしょう。基本的な熟語は版が変わっても大きくは動かないため、すでに手元にあるなら買い替えを急ぐ必要はありません。ただし収録熟語や配列が更新されているので、これから新しく買うなら最新版を選んでおくほうが無難です。友人や先輩から譲り受ける場合も、何訂版かだけは確認しておいてください。

なぜ竹内個別が第一候補にするのか

熟語帳は3つの形式に分かれる

熟語帳は複数ありますが、竹内個別が最初に挙げるのは英熟語ターゲット1000です。理由は形式のシンプルさ、ほとんどそれだけと言ってもいいくらいですね。熟語と意味が並んでいるだけなので、英語を見て日本語を思い出す作業に100%集中できます。英文を読む工程も、語源を理解する工程も挟まりません。書店で手に取ると地味に見えますが、暗記の教材に必要なのは面白さではなく、同じ動作を何度も繰り返せる設計です。

20周を前提にすると、1周の軽さが効いてきます

なぜ形式を重視するのか。それは熟語が2〜3周では覚えられないからです。英単語と同じで、10周・20周と回してようやく定着します。この前提に立つと、1周にかかる時間がそのまま総時間に跳ね返ってくることがわかるはずです。参考書選びの話に見えて、実は時間配分の話をしているわけですね。1周だけなら数分の差でも、20周続けば無視できない差になります。

たとえば1個あたり10秒余分にかかる教材があったとします。1000個で計算すると1周あたり約2.8時間の差になり、20周では50時間以上の開きが生まれる計算です。50時間あれば、数学の問題集を1冊仕上げられるかもしれません。熟語帳を選ぶという行為は、この時間をどう配分するかを決める行為でもあります。だからこそ、収録語数や解説の詳しさより先に、1周の重さを見てほしいのです。

同じ考え方を英単語帳でも採っています。竹内個別がターゲット1900を勧めているのは、赤シートで隠せるシンプルな設計だから。日本語訳が隠れて、時間と集中力を暗記そのものに全部投下できる形式を優先しているわけです。単語帳と熟語帳で同じシリーズを使うと、赤シートの使い方も周回のリズムも共通になるので、切り替えのストレスが減るという利点もあります。

他の熟語帳と比べると位置づけがはっきりします

定番の熟語帳は形式で3つに分かれます。熟語と意味が並ぶ一問一答型、語源や成り立ちから理解する理解型、長文の中で覚える長文型です。ターゲット1000は一問一答型の代表で、この中では1周が最も軽い部類に入ります。解体英熟語は理解型、速読英熟語は長文型で、どちらも1周あたりの負荷が上がる構成です。収録語数や難易度で比べる記事は多いのですが、形式で分けたほうが自分に合う1冊は選びやすくなります。

竹内個別はこの2冊を積極的には勧めていません。ただし「本が悪い」という意味ではなく、20周を前提にしたときのコストが合わないという理由です。淡々とした暗記が苦痛で続かないタイプであれば、長文型のほうが最後まで回せることもあります。理屈で納得しないと入らないタイプなら、理解型が合うでしょう。続かない参考書は理論的に正しくても成果になりませんから、そこは自分の性格を優先してください。

▶ 関連記事:英熟語帳おすすめ4選|買う前に確認したい「そもそも必要か」の判断基準

つまり参考書に絶対的な優劣はなく、その人に合うかどうか、その人の優先順位に合うかどうかで決まります。同じ本でも、ある生徒には最短ルートになり、別の生徒には遠回りになる。竹内個別が万人向けのランキングを作らないのはそのためです。ターゲット1000を第一候補に挙げるのは、あくまで「迷っているなら最も軽い1冊から」という意味だと受け取ってください。

もう一つ、シリーズを揃えることの効用も書いておきます。英単語をターゲット1900で進めているなら、熟語もターゲット1000にすると赤シートの使い方も周回の手順も共通になります。教材ごとに使い方を切り替えるコストは、目に見えないところで積み重なるものです。同じリズムで回せる状態を作っておくと、迷う時間が減って学習の密度が上がります。すでに別の単語帳を使っている場合でも、形式が近ければ同じ効果は得られるでしょう。

そもそも必要?文法書の熟語ページを先に確認してください

熟語帳を買う前の確認手順

熟語帳を買う前に、必ずやってほしいことがあります。手元のNextStageやVintageを開いて、熟語(イディオム)のセクションを確認することです。文法問題集だと思って使っている本の後半に、実はまとまった量の熟語が収録されています。毎日開いている本の中に、すでに熟語の教材が入っている状態ですね。ここを見落としたまま新しい1冊を買う受験生は、実際にかなり多くいます。

竹内個別の考えでは、そこに載っている熟語で十分に戦える大学は少なくありません。志望校のレベルによっては、熟語帳を別途1冊買う必要がないケースがあるということです。やることはシンプルで、文法書の熟語ページを開いて上から順に日本語の意味が即答できるか試してみてください。ほとんど詰まらずに出てくるなら、その部分の完成度は悪くない状態といえます。逆に半分も出てこないようなら、新しい本を買う前にそこを埋めるほうが先です。

▶ 関連記事:NextStage英文法|やらなくていいところは6領域のうち3つ

▶ 関連記事:Vintage英文法の使い方|ノートは作らない、赤シートで回すだけ

同じ熟語を2冊で覚え直すことになるので、時間の使い方として明らかに損をします。新しい参考書を買うと勉強が進んだ気になりますが、実際に点数を動かすのは手元の1冊をどこまで仕上げたかです。書店に向かう前に、まず持っている本の熟語ページを開いてください。そこが埋まっているかどうかで、次にやるべきことが自動的に決まります。

必要かどうかは文理と目標点で決まります

熟語帳が要るかどうかは、受験生のタイプによって答えが変わります。竹内個別では大きく2つの軸で判断していて、1つが文系か理系か、もう1つが共通テストで何点欲しいかです。この2つを先に決めると、参考書選びで迷う時間がほとんどなくなります。逆にここが曖昧なまま書店に行くと、平積みされている本の中から「なんとなく良さそう」で選ぶことになりますよね。

状況熟語帳の必要性
共通テストで60〜70%取れればよい不要
共通テストで80%以上欲しい必要
文系(国公立・私立問わず)絶対に必要
理系優先順位が下がる
私立文系3科目・英語の配点が高い必要
英検2級・準1級を取りにいく必要

文系の受験生は熟語帳が必要です。英語の比重が高く、熟語での失点がそのまま合否に効いてきます。一方で理系の受験生は優先順位が下がり、竹内個別で理系を目指す生徒はそもそも熟語帳にたどり着かないことがほとんどです。数学や理科の優先順位が先に上がってしまい、熟語をやる順番が回ってこないから。高3の夏以降は理科と数学の学習量が増えるので、英語に割ける時間はさらに減っていきます。

同じ共通テストでも、6〜7割でいいのか8割以上欲しいのかで答えが変わる点にも注意してください。8割以上を狙うなら熟語で落とす失点は無視できない大きさになりますし、逆に6〜7割が目標ならその時間を他の科目に回したほうが総合点は伸びるでしょう。英語だけを見て判断せず、受験全体の点数で考えるのが竹内個別のやり方です。

この判断を先送りにすると、何が起きるか。「一応やっておいたほうがいいかな」で熟語帳を買い、数周して放置する、という形に落ち着きます。これが最も損な結果です。やらないと決めればその時間は他の科目に回りますし、やると決めれば20周まで持っていける。宙ぶらりんの状態が、時間だけを消費して点数につながらない一番の原因になります。買うか買わないかは、早めに決め切ってしまいましょう。

英熟語ターゲット1000の使い方|英→日の一方向で10〜20周

英熟語の覚え方3原則

使い方の原則は英単語とまったく同じです。英語を見て日本語の意味を思い出す、この一方向に集中してください。日本語から英語を書けるようにする必要はありません。まずは英→日を高速で回して、見た瞬間に意味が出てくる状態を作ります。英単語で言う「反射レベル」と同じ考え方で、友達の顔を見た瞬間に名前が出てくる、あの感覚まで持っていくのがゴールになります。

▶ 関連記事:英単語の覚え方|1秒で思い出せる「反射レベル」に仕上げる暗記法

前置詞のイメージや語源から入らなくていい

熟語の解説書には、前置詞のイメージや語源から理解させようとするものがあります。onは接触、offは分離、といった説明ですね。竹内個別では、そこから理解を始める必要は特にないと考えています。むしろ語源やイメージから入ると、覚えるまでの手順が増えて面倒になることのほうが多いのです。1個の熟語に理解のステップが挟まるぶん、周回のスピードが落ちてしまいます。

どちらかと言えば、素直に暗記してしまったほうが早い。理屈で納得してから覚えるより、まず反射で出るようにするほうが試験では機能します。試験本番で問われるのは語源の理解ではなく、その熟語の意味が一瞬で出てくるかどうかですよね。長文の途中で「これはどういう成り立ちだったかな」と考え込んでいる時間はありません。もちろん語源の知識が定着を助けるケースはありますが、それは覚えたあとで気づけば十分です。

2〜3周では覚えられません

ここが一番シビアな話です。熟語は英単語と同じで、2〜3周やった程度では定着しません。10周、20周と回してようやく覚えられるものだと思ってください。つまり熟語帳に手を出すということは、20周分の時間を確保するという意味になります。1周にかかる時間を実際に測って、20倍してみてください。それがその1冊にかかる総時間です。

この時間を担保できないなら、着手しないほうがいい。参考書を買った瞬間に成績が上がるわけではありませんよね。20周やり切って初めて得点になります。その20周が他の科目の時間を削って成立するのかどうか、そこを先に計算してほしいのです。感覚で「たぶん間に合う」と判断せず、一度だけでも数字にしておくと計画の精度が上がります。時間の見積もりを飛ばして参考書だけ増やすのが、受験で最も起きやすい失敗といえます。

ここでターゲット1000の軽さが効いてきます。1周が軽ければ、20周という数字が現実的な範囲に収まる。逆に1周が重い教材だと、同じ20周でも必要な時間が跳ね上がります。周回数を減らして帳尻を合わせようとすると、今度は定着しないまま終わる。「20周できる形式かどうか」で選ぶという考え方は、ここから来ています。

1周ごとの進め方

具体的な進め方も書いておきます。1周目は完璧を目指さず、とにかく最後まで到達することを優先してください。わからない熟語で立ち止まらず、意味を確認したらすぐ次へ進みます。1周目に時間をかけすぎると、そこで力尽きて2周目に入れません。全体を1度見渡すことが1周目の目的だと考えてください。最初の1周で覚えられなくて当然なので、そこで落ち込む必要もありません。

2周目以降は、即答できた熟語と詰まった熟語を仕分けながら回します。即答できるものは飛ばして構いません。周回のたびに見る量が減っていくので、後半になるほど1周が速くなります。この「減っていく」感覚が続ける原動力にもなるはずです。チェックを付ける方法でも、付箋を使う方法でも構いません。仕分けの手段より、毎回きちんと仕分けることのほうが大事になります。

音声を使う場合は、目で見る学習の補助として位置づけてください。移動時間に聞き流すだけでは反射は作れませんが、覚えた熟語の確認としては有効です。アプリを併用する場合も同じで、テスト機能を使って「思い出す回数」を増やす方向で使うのが効率的でしょう。眺める時間を増やすのではなく、思い出す回数を増やす。ここが暗記の要になります。

1日あたりの分量についても触れておきます。竹内個別は「1日何個」という固定のノルマを重視していません。大事なのは1周を何日で終えるかで、そこから逆算して1日の分量が決まるからです。1周に1ヶ月かけると、最初に見た熟語を次に見るのが1ヶ月後になってしまいます。これでは忘れるスピードのほうが速い。1周の間隔を短くするほど、同じ周回数でも定着は良くなります。分量に迷ったら、1周を何日で回せるかから決めてください。

よくある失敗3つ

ターゲット1000でよくある失敗

ターゲット1000は使い方の自由度が高いぶん、進め方を誤ると効果が落ちます。竹内個別が実際によく見る失敗を3つ挙げておきます。どれも真面目に取り組んでいる受験生ほど陥りやすいものなので、心当たりがあれば早めに修正してください。共通しているのは「勉強した感覚」と「得点への効果」がズレている点です。時間をかけているのに伸びないと感じたら、まずここを疑ってみてください。

失敗1:一覧を眺めるだけで満足する

熟語一覧をひたすら眺めて、覚えた気になってしまうパターンです。読んでいるときは意味がわかるので、進んでいる実感があります。ただし「見て意味がわかる」と「英語を見て意味を思い出せる」はまったく別の状態です。試験で必要なのは後者なので、眺めるだけの学習は時間の割に得点に変わりません。ネットで拾った熟語一覧のPDFを眺めるだけ、という進め方も同じ理由で効果が薄くなります。

対策はシンプルで、必ず赤シートで日本語を隠すことです。隠した状態で意味を言えるかどうかを毎回チェックする。思い出せなかったものだけ確認して、また隠す。この「思い出す」動作の回数が、そのまま定着の量になります。眺める時間を半分にして、思い出す回数を倍にするイメージで進めてください。声に出す必要はなく、頭の中で意味が浮かべば十分です。

失敗2:書いて覚えようとする

ノートに何度も書き写して覚えようとするパターンです。手を動かすと勉強した感覚は強くなりますが、1個あたりにかかる時間が跳ね上がります。20周を前提にすると、書く方式では現実的に回りません。書く時間を暗記そのものに回したほうが、同じ時間で何倍も多くの熟語に触れられます。中学時代に単語を書いて覚えた経験があると、つい同じやり方を持ち込みがちなので注意してください。

日本語から英語を書けるようにする必要がない、というのも理由の1つです。求められているのは英語を見て意味が出てくることなので、スペルを書く練習に時間を使う必要はありません。英作文で使いたい熟語だけ、後から個別に覚えれば十分でしょう。まずは英→日の反射を作ることに集中してください。書けるようにするのは、その先の課題として切り分けて構いません。

書く作業には「勉強した感」がある、という点も気をつけたいところです。ノートが埋まっていくと進んでいる実感が得られますが、その実感と得点は必ずしも比例しません。手を動かした量ではなく、思い出せる熟語が何個増えたか。ここで測るようにすると、勉強法の判断がぶれなくなります。ノートを埋める時間があるなら、赤シートで隠して思い出す回数を増やしてください。

失敗3:仕上がる前に2冊目に手を出す

1冊目が7割ほど進んだところで、別の熟語帳が気になり始めるパターンです。書店に行くと新しい本が並んでいて、今の1冊で足りるのか不安になりますよね。他の受験生がもっと難しい本を使っている話を聞くと、なおさら焦ります。でも足りないのは収録語数ではなく、たいてい周回数のほうです。1冊目が中途半端なまま2冊目に移ると、結局どちらも試験で使えない状態で終わります。

熟語帳は1冊で十分です。2冊あるとどちらも中途半端な周回数で止まります。10周やり切った1冊と、3周ずつ回した2冊。試験で使えるのは前者になります。しかも2冊のあいだには重複する熟語がかなりあるので、増える語数は思っているより少ないのが実情です。2冊目を検討していいのは、1冊目をほぼ即答できる状態にしたうえで、志望校の過去問に載っていない熟語が繰り返し出てくる場合だけになります。

不安になったときの確認方法も決めておくと迷いません。志望校の過去問を1年分開いて、熟語が原因で意味を取り違えた箇所を数えてみてください。そこで詰まりが出ていないなら、今の1冊で足りている証拠です。逆に同じような表現で何度も止まっているなら、その原因が収録語数なのか周回数なのかを切り分ける。判断材料を不安ではなく実際の失点に置くことで、余計な買い足しを防げます。

▶ 関連記事:解体英熟語のレベルと使い方|語源から覚える必要は本当にあるか

関連書籍の使い分け

関連書籍は本体を終えてから

英熟語ターゲット1000には関連書籍が複数あります。どれも本体と組み合わせて使う設計ですが、全部に手を出す必要はありません。竹内個別の考え方でいえば、まず本体を20周することが最優先で、関連書籍は必要になったときに検討すれば十分です。ここでは何がどう違うのかだけ整理しておきます。書店で並んでいるのを見ると全部必要に見えますが、役割はそれぞれ異なります。

実戦問題集は、本体で覚えた熟語を問題形式で確認するための1冊です。覚えたかどうかを客観的にチェックしたい場合には使えます。ただし本体が仕上がっていない段階で手を出すと、単に「知らない熟語のテスト」になってしまいます。使うなら本体の周回がある程度進んでからにしてください。実力を測る道具であって、覚えるための道具ではないと考えると位置づけがはっきりします。

英文で覚える英熟語ターゲットRは、本体に掲載された熟語を英文の中で確認する構成です。長文の中で熟語に気づけるようにしたい人向けの位置づけになります。ただし竹内個別の考えでは、長文読解の練習は長文の教材でやったほうが効率的です。英語はそれぞれのスキルが独立しているので、熟語暗記と読解練習は分けたほうが伸びます。

▶ 関連記事:速読英熟語のレベルと使い方|熟語帳が必要な人・不要な人の分かれ目

カード版は、本体の熟語をカード形式にしたものです。覚えた熟語を物理的に抜いていけるので、周回のたびに残りが減っていく運用ができます。20周を前提にすると、この方式が合う人は一定数いるでしょう。一方で持ち運びや紛失のリスクを考えると、通常の書籍のほうが管理は楽です。どちらを選んでも中身は同じなので、自分の運用スタイルで決めて構いません。

応用トレーニングは、長文読解やリスニング、英作文と絡めて熟語を使う教材です。本体を仕上げたうえで、さらに運用力を高めたい人向けになります。ただしここまで到達している受験生は、そもそも次の段階(長文演習や過去問)に進んでいることが多いはずです。優先順位としては最後に置いて構いません。過去問を解く時間が確保できているなら、そちらを優先したほうが得点には直結します。

アプリと音声は書籍ではありませんが、併用を考える人が多いので触れておきます。公式アプリにはテスト機能があり、音声は無料でダウンロードできます。使うなら「思い出す回数を増やす」方向で活用してください。移動中に流し聞きするだけでは反射は作れませんが、アプリのテスト機能なら赤シートと同じ働きをします。紙とアプリのどちらか一方に絞る必要はなく、机では紙、移動中はアプリという分け方でも構いません。

関連書籍が多いこと自体は、シリーズとしての強みでもあります。ただし選択肢が多いと「何を買えばいいか」で迷う時間が生まれるのも事実です。竹内個別の答えはシンプルで、本体1冊だけ買って20周する。これで大半の受験生は足ります。関連書籍を検討するのは、本体を即答できる状態にしてから。その段階に来ていれば、自分に何が足りないかは自分で判断できるようになっているはずです。

どこまで覚えるべきか

志望校別にどこまで覚えるか

でる順で並んでいるので、志望校のレベルに応じてどこまでやるかを調整できます。ただし竹内個別の基本方針は「やると決めたら1冊を最後まで」です。途中で止めると、その先の熟語が丸ごと抜けた状態になります。志望校のレベルが上がったときに、後半だけやり直すのは効率が悪いですよね。受験の途中で志望校を上げる可能性があるなら、最後まで通しておくほうが後で楽になります。

とはいえ、残り時間が限られている場合は現実的な線引きも必要です。共通テストで7割前後が目標なら、前半を確実に仕上げることを優先してください。でる順なので、前半ほど出題頻度が高い熟語が並んでいます。同じ時間を使うなら、後半を薄く広げるより前半を確実にするほうが得点への影響は大きくなります。範囲を絞る判断は妥協ではなく、限られた時間で点を最大化するための戦略です。

難関私大や国公立二次で英語を使う場合は、最後まで仕上げる前提で計画を組んでください。この層では熟語での失点がそのまま差になります。ただしその場合でも、周回数を確保できるかを先に計算してほしいところです。全部を3周するより、前半を20周するほうが得点になる場面もあります。どこまでやるかと何周やるかは、セットで決める必要があります。

判断に迷ったら、残り時間から逆算するのが確実です。本番まで何ヶ月あり、そのうち英語に割ける時間は何時間か。そこから1周にかかる時間で割れば、現実的な周回数が出ます。出た数字が5周なら、範囲を絞って20周できる量に減らす。この計算を一度やっておくと、「間に合わないかもしれない」という漠然とした不安が具体的な作業計画に変わります。不安のままにしておくより、数字にしてしまったほうが動けるようになります。

英検を取りにいくなら優先度は上がります

英検2級や準1級を目指す場合、熟語の優先順位は上がります。竹内個別でも、英検を取りにいく生徒は熟語帳をやる人が出てきますね。本番の一発勝負より、何度も挑戦できる英検で先に確保してしまうほうが有利になるケースは多いからです。志望校が英検を使えるなら、熟語まで含めて対策する価値があるといえます。逆に志望校で英検が使えないなら、熟語の優先順位は元の位置に戻ると考えてください。

実際、竹内個別で英検2級に合格したひとみさんは、単語→文法→解釈→長文という順番で積み上げて偏差値49から57まで伸ばしました(2025年度・当塾在籍生)。基礎から順番に固めていく設計は、英検対策でもそのまま機能します。熟語に進む前の土台がどう作られたのか、対談で具体的に語ってもらっています。同じ順番で詰まった経験のある人ほど、参考になるはずです。

【偏差値49→57&英検2級合格!】
ひとみさん × 塾長 対談を読む

熟語はいつ始める?単語・文法・解釈・長文の後です

竹内個別の英語ルート

竹内個別の英語ルートは、単語→文法→解釈→長文読解という順番です。熟語が入るのはこの長文まで一通り終えたあと。そして他の科目との兼ね合いで時間があれば、というのが正直なところです。熟語は英語の総仕上げに近い位置にある教材で、最初に手を出すものではありません。熟語帳を早々に買って机に積んでいる受験生は多いのですが、開くべき順番はもっと後ろにあります。

なぜ最後なのかというと、熟語の前にやるべきことのほうが得点への影響が大きいからです。単語が入っていなければ文章そのものが読めませんし、文法と解釈が抜けていれば構造が取れません。土台が固まっていない状態で熟語だけ足しても、点数には変わりにくいのです。順番を守ることが、そのまま最短ルートになります。焦って先の教材に手を出すほど、遠回りになるという構造ですね。

▶ 関連記事:大学受験の英語勉強法|何から始めるかと正しい順番を4ステップで

だからこそ、英語は早い時期から進めておくことを強く勧めています。高3の夏までに受験で戦えるレベルへ持っていければ、そのあとの選択肢が広がるでしょう。英語は積み上げに時間がかかるぶん、先に着手した人が有利になる科目です。熟語まで手が届くかどうかも、結局は英語をいつ始めたかで決まる面があります。理科や数学は後半で伸ばせても、英語だけは前倒しでしか作れません。

高1・高2の段階でこの記事を読んでいるなら、まだ熟語帳を開く必要はありません。まずは単語と文法を固めてください。その2つが仕上がっていれば、熟語に着手する時期が来たときに周回のスピードも上がります。逆に高3でこの記事にたどり着いた場合は、熟語を足すより先に土台の抜けを確認するほうが得点への影響は大きいはずです。残り時間が短いほど、優先順位の判断がそのまま結果を決めます。

FAQ

Q1. 英熟語ターゲット1000のレベルはどのくらいですか?

A. 共通テストから難関大まで幅広く対応します。でる順で並んでいるため、前半を仕上げるだけでも共通テストレベルの熟語はかなりカバーできます。後半に進むほど難度が上がり、最後まで仕上げれば難関私大や国公立二次でも戦える語彙になります。志望校に応じてどこまでやるかを調整できるのが、でる順配列の利点です。前提として英単語帳をある程度進めておくと、熟語の負荷が下がります。

Q2. 英熟語ターゲット1000は何周すればいいですか?

A. 2〜3周では定着しません。10周から20周を回して覚えるものだと考えてください。期間を知りたい場合は、1周にかかった時間を測って20倍すると総時間が出ます。この時間を他の科目を削って確保できるかどうかが、着手するかどうかの判断基準になります。感覚で判断せず、一度は数字にしてみてください。1周の間隔が空くほど忘れる量が増えるので、1周を短期間で回すことも重要です。

Q3. 英熟語ターゲット1000はいらないと聞きましたが本当ですか?

A. 志望校と目標点によります。NextStageやVintageなど文法書の熟語セクションで足りる大学も多いため、まず手元の文法書の熟語ページが即答できるかを確認してください。共通テストで60〜70%取れればよいなら不要、80%以上欲しいなら必要という線引きになります。理系は優先順位が下がり、文系は必要という違いもあります。

Q4. 日本語から英語を書けるようにする必要はありますか?

A. まずは不要です。英語を見て日本語の意味を思い出す、この一方向に集中してください。求められているのは英語を見て意味が出てくることなので、スペルを書く練習に時間を使う必要はありません。英作文で使いたい熟語だけ、後から個別に覚えれば十分です。書く方式は1個あたりの時間が跳ね上がり、20周が現実的でなくなります。

Q5. 前置詞のイメージから覚えたほうが定着しますか?

A. 竹内個別ではその必要は特にないと考えています。語源やイメージから入ると手順が増え、1個あたりの処理が重くなるためです。試験で問われるのは成り立ちではなく意味そのものなので、まず反射を作るほうを優先してください。語源の知識が定着を助けることはありますが、それは覚えたあとで気づけば十分です。理解してから覚えるのではなく、覚えてから理解する順番を勧めています。

Q6. 実戦問題集やターゲットRも買ったほうがいいですか?

A. まず本体を20周することが最優先です。実戦問題集は本体の周回がある程度進んでから、覚えたかどうかの客観的な確認に使ってください。ターゲットRは長文の中で熟語を確認する構成ですが、竹内個別は長文読解の練習を長文の教材でやることを勧めています。英語はスキルが独立しているため、熟語暗記と読解練習は分けたほうが伸びます。

Q7. カード版と通常版はどちらがいいですか?

A. 中身は同じなので、運用スタイルで決めて構いません。覚えた熟語を物理的に抜いていける運用をしたいならカード版に分があります。周回のたびに残りが減っていく感覚は、20周を続けるうえで助けになるはずです。持ち運びやすさと管理の楽さを取るなら通常版です。カード版は切り取る作業自体に時間がかかる点も見込んでおいてください。

Q8. 熟語一覧やPDFだけで覚えられますか?

A. 一覧を眺めるだけでは定着しません。「見て意味がわかる」と「英語を見て意味を思い出せる」はまったく別の状態で、試験で必要なのは後者だからです。一覧を使うなら、日本語を隠して思い出す形にしてください。書籍を持っているなら赤シートがその役割を果たします。眺める時間を増やすのではなく、思い出す回数を増やす。ここが定着量を決めます。

Q9. 英熟語ターゲット1000はいつから始めるべきですか?

A. 単語→文法→解釈→長文読解を一通り終えたあとです。そのうえで他の科目との兼ね合いで時間が確保できる場合に着手します。熟語の前にやるべきことのほうが得点への影響が大きいためです。理系の場合、高3の夏以降は理科と数学の学習量が増えるため、この段階に到達しないまま本番を迎えることが多くなります。英語を早い時期から進めておくと、熟語まで手が届く可能性が上がります。

まとめ

英熟語ターゲット1000は、入試に出る1000熟語をでる順に並べた旺文社の熟語帳です。熟語と意味が並ぶだけのシンプルな構成で、赤シートを使えばすぐに暗記に入れます。竹内個別が熟語帳の第一候補に挙げるのは、この1周の軽さが理由です。20周を前提にすると、1周あたりの時間差がそのまま仕上がりの速さになります。

ただし買う前に確認してほしいことがありました。手元のNextStageやVintageの熟語ページです。そこに載っている熟語で足りる大学は少なくないので、新しい1冊を買う前に何割即答できるかを試してみてください。すでに持っている本で足りるなら、それが最も安く早い選択になります。判断の順番を整理しておきます。

  • 文法書の熟語ページが詰まらずに即答できるか確認する
  • 文系なら必要、理系なら優先順位が下がる
  • 共通テスト60〜70%なら不要、80%以上なら必要
  • やると決めたら1冊だけ。英→日の一方向で10〜20周
  • 書いて覚えない。眺める時間より思い出す回数を増やす

この本を選ぶ理由は「最も優れているから」ではなく「最も軽いから」です。20周という数字を現実的な範囲に収めてくれる形式だから第一候補になる。逆に言えば、淡々とした暗記がどうしても続かないなら別の形式を選んだほうがいい。参考書に絶対的な優劣はなく、その人が最後まで回せるかどうかで決まります。3日続けてみて苦痛かどうかが、一番正確な判断材料になるはずです。

熟語帳は「1冊やれたほうがいい」教材ではあります。でも単語帳を仕上げることのほうが先。順番を間違えなければ、英語はセンスや才能ではなく積み上げで伸ばせる科目です。自分が今どの段階にいて、次に何をやるべきか。そこが曖昧なままだと参考書選びで迷い続けることになりますし、迷っている時間そのものが20周分の時間を削っていきます。

どの参考書に何時間かかり、どの正答率まで仕上げるか。志望校レベル別の全体像は、記事では触れていない英語ロードマップで確認できます。

著者:竹内個別戦略室 尾崎侑絃(岐阜大学医学部医学科卒業・医師免許保持)
監修:竹内個別塾長 竹内壮志(名古屋大学工学部卒業)

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