医学部偏差値ランキング2027|国公立50校は5段階しかない

医学部の偏差値ランキングを調べると、多くのサイトが「第1位から第82位まで」と細かく順位をつけています。ただし河合塾が公表しているボーダー偏差値を見ると、国公立50校は5段階、私立31校は6段階にしか分かれていません。しかも国公立の46%にあたる23校が、まったく同じ62.5に並んでいます。

つまり「ランキング下位の入りやすい大学を狙う」という発想は、公式データの上では成立しにくいということ。秋田大学も鳥取大学も琉球大学も、二次試験のボーダー偏差値は同じ数字です。では何で差がつくのか。答えは共通テストでした。同じ河合塾のデータで、共通テストのボーダー得点率は79%から93%まで14ポイントの幅があります。

この記事では河合塾の公式データをもとに医学科81校の偏差値を一覧化したうえで、竹内個別が実際の指導で使っている「志望校をいつ、何を基準に決めるか」までお伝えします。竹内個別は大学受験全般に対応する個別指導塾で、医学部や国公立を目指す生徒の学習計画をオーダーメイドで組んでいます。

この記事でわかること

  • 医学科81校のボーダー偏差値(国公立50校・私立31校)
  • 国公立が5段階・私立が6段階にしか分かれていない事実
  • 二次偏差値ではなく共通テストで差がつく理由
  • 「入りやすい医学部」を狙うのが戦略にならない理由
  • 出願校をいつ決めるべきか

共通テストで何%必要か、そこから逆算して1日の学習をどう組むか。記事では触れていない個別の設計は医学科特化コースで扱っています。

医学部偏差値ランキング【国公立50校】

まずは国公立大学医学部医学科のボーダー偏差値です。河合塾が公表している2027年度入試難易予想ランキング表(学部学科ランク)から、医学科のみを抜き出しました(出典:河合塾 Kei-Net「国公立大 2027年度入試難易予想ランキング表」2026年6月現在)。このボーダー偏差値は、前年度入試の結果と今年度の全統模試の志望動向をもとに設定された予想値です。同じ偏差値の大学は五十音順ではなく、河合塾の表の掲載順に並べています。

ボーダー偏差値校数大学
72.51東京(理科三類)
70.03東京科学・京都・大阪
67.510北海道・東北・千葉・横浜市立・山梨・名古屋・大阪公立・神戸・奈良県立医科・九州
65.013筑波・新潟・金沢・岐阜・浜松医科・名古屋市立・三重・滋賀医科・京都府立医科・岡山・広島・長崎・熊本
62.523旭川医科・札幌医科・弘前・秋田・山形・福島県立医科・群馬・信州・富山・福井・和歌山県立医科・鳥取・島根・山口・徳島・香川・愛媛・高知・佐賀・大分・宮崎・鹿児島・琉球

一覧にしてみると、想像していたより刻みが粗いと感じるのではないでしょうか。最上位の東京大学理科三類が72.5で、最下位帯が62.5。その差はわずか10ポイントで、しかも間に3段階しかありません。他学部のランキングを見慣れていると、この密集ぶりは異様に映るはずです。医学部という括り自体が、すでに高い水準で足切りされた集団だということですね。

そして注目してほしいのが最下位帯の23校です。国公立医学科50校のうち、46%が同じ62.5に並んでいます。旭川医科も琉球も、河合塾のボーダー偏差値では同じ数字。つまり「この大学のほうが入りやすい」という比較が、少なくとも二次試験の偏差値の上では成り立たないということになります。半数近くが同点で並んでいる表を見て序列を読み取ろうとするのは、そもそも無理があるということですね。

地域で見ると、62.5帯には地方の大学が多く並んでいます。ただしこれを「地方だから入りやすい」と読むのは早計です。医学部は各都道府県に最低1校という配置になっているため、地方大学が多いのは制度上の必然でもあります。しかも地方大学ほど地域枠や推薦の比率が高く、一般選抜の募集人員が絞られているケースもある。募集人員が少なければ、同じ偏差値でも実際の競争は厳しくなります。偏差値表の数字だけでは、この部分は見えてきません。

もう一点、この表は「学部学科ランク」であることも押さえておいてください。河合塾はこれとは別に、日程や方式ごとのボーダーを示した「方式別ランク」も公表しています。同じ大学でも前期と後期では必要な学力がまったく違いますし、後期日程は募集人員が少ないぶん要求水準が跳ね上がります。志望校を具体的に検討する段階では、学部単位の数字ではなく方式別の数字を見る必要があるでしょう。

医学部偏差値ランキング【私立31校】

続いて私立大学医学部医学科です。こちらも同じ河合塾のデータから抜き出しています(出典:河合塾 Kei-Net「私立大 2027年度入試難易予想ランキング表」2026年6月現在)。私立は一般選抜のほかに共通テスト利用方式を設けている大学も多く、方式によって必要な学力は変わります。ここに載せているのは一般選抜(独自試験)のボーダー偏差値なので、共通テスト利用を検討する場合は別途確認してください。

ボーダー偏差値校数大学
72.51慶應義塾
70.03順天堂・東京慈恵会医科・日本医科
67.56国際医療福祉・自治医科・昭和医科・東京医科・大阪医科薬科・関西医科
65.010東北医科薬科・杏林・帝京・東海・東邦・日本・愛知医科・藤田医科・近畿・産業医科
62.59岩手医科・獨協医科・埼玉医科・北里・聖マリアンナ医科・金沢医科・兵庫医科・久留米・福岡
60.02東京女子医科・川崎医科

私立も6段階しかありません。最上位の慶應義塾が72.5、最下位帯が60.0で、差は12.5ポイント。国公立よりわずかに幅がある程度です。そして65.0の帯に10校、62.5の帯に9校が並んでいて、この2つの帯だけで私立31校の6割を占めています。ボリュームゾーンが真ん中の2段階に集中している構造は、国公立と共通しています。

ここでも同じことが起きています。杏林も帝京も東海も東邦も日本も、河合塾のボーダー偏差値では同じ65.0。偏差値表を眺めて「どこが入りやすいか」を探しても、答えは出てきません。私立の場合はさらに学費という別軸が加わるので、偏差値だけで受験校を絞るのはいっそう難しくなります。同じ65.0の10校でも、6年間の総額には数千万円の開きがあるためです。

私立で特徴的なのが、国公立との比較のしかたです。国公立の最下位帯が62.5、私立の最上位が72.5なので、数字の上では重なり合っています。ただし同じ偏差値でも国公立と私立では合格の難易度が同じにはなりません。国公立は共通テストで5教科7科目が必要なのに対し、私立は3科目に絞られるのが一般的だからです。科目数が違えば、必要な総学習量も、1科目あたりに割ける時間もまったく変わってきます。

そのため私立を第一志望にする場合は、受験全体の計画を私立向けに組み替える必要があります。科目が少ないぶん過去問対策を早くから始められますし、共通テストに割く時間も圧縮できる。国公立志望と私立志望では、同じ「医学部受験」でも年間計画の形が根本的に違ってきます。どちらを軸にするかは、できるだけ早い段階で決めておきたいところです。

▶ 関連記事:私立医学部の学費ランキング【2026年・全31校】安い順と国公立との差

国公立は5段階、私立は6段階しかありません

国公立医学部は5段階しかない

ここまでのデータを整理すると、医学部の偏差値ランキングという概念そのものに疑問符がつきます。国公立50校が5段階、私立31校が6段階。合わせて81校が実質7つの数字にしか分かれていません。それなのに世の中のランキング記事は「第1位」から「第82位」まで細かく順位をつけています。この差はどこから生まれているのでしょうか。

なぜそうなるのか。多くのランキングは、二次偏差値だけでなく共通テストの得点率や倍率、複数模試の値などを合成して独自の順位を作っているからです。だから「第74位 秋田大学」のような細かい数字が出てくる。それ自体は悪いことではありませんが、根拠になっているのは各社が設計した合成指標であって、河合塾が公表しているボーダー偏差値そのものではありません。

この違いは受験生にとって実害があります。細かい順位表を見ると「70位台の大学なら60位台より入りやすい」と思ってしまいますよね。でも河合塾のデータでは、その2校のボーダー偏差値は同じです。存在しない差を根拠に受験校を決めてしまうリスクがあるということ。ランキングを見るときは、何を根拠にした順位なのかを必ず確認してください。

竹内個別が偏差値ランキングをあまり重視しないのは、この構造があるからです。数字が同じ23校の中から「一番入りやすい大学」を探す作業に、意味のある時間は使えません。それよりも、次に説明する共通テストの数字を見るほうが、はるかに実用的な判断材料になります。調べる対象を変えるだけで、判断の精度は大きく上がります。

他学部と比べてみると、この密集ぶりがよくわかります。一般的な学部であれば、同じ大学の中でも学科によって偏差値が10ポイント以上開くことは珍しくありません。志望校の候補を並べれば、自然と難易度の階段ができあがります。ところが医学部にはその階段がほとんどない。受験生から見れば「どこも同じくらい難しい」というのが、データが示している実態です。

この事実は、志望校選びの考え方を変えます。難易度で並べ替えて上から挑戦していくという発想が使えないので、別の基準が必要になるからです。竹内個別では、その基準を共通テストの得点率と、通学や学費といった生活条件に置いています。学力面で差がつかないなら、生活面の条件で選んだほうが合理的だという判断です。6年間通う場所ですから、この視点は決して副次的なものではありません。

差がつくのは二次偏差値ではなく共通テストです

差がつくのは共通テスト

二次偏差値が5段階しかないのに対して、共通テストのボーダー得点率には明確な幅があります。同じ河合塾のデータによれば、国公立医学科の共通テストボーダー得点率は前期日程で79%から93%、後期日程では86%から95%という範囲になっています(出典:医学部受験ラボ掲載の河合塾系データ/2025年9月時点の予想難易度)。

前期だけで14ポイントの幅です。二次偏差値の刻みが2.5ポイント単位で5段階しかないことを考えると、受験校を分ける実質的な指標は共通テストのほうだとわかります。同じ62.5の23校の中でも、共通テストで求められる得点率は大学ごとにかなり違うということですね。志望校を比較するなら、見るべきはこちらの数字になります。

竹内個別の指導方針も、ここに一致しています。

> 国公立志望なら共通テスト対策が最優先。80%取れなければそもそも受験すらできない。二次試験の大学別対策よりも共通テスト対策を優先する

医学部志望の場合、共通テスト対策にかける期間は8〜12週間を見込みます。医学部以外の志望なら6週間程度なので、ほぼ倍の時間を確保する計算です。この期間をどこに置くかで年間計画の形が決まるため、早い段階で意識しておく必要があります。逆算すると、11月から共通テスト対策に入る前提なら、10月末までに二次で使う範囲を一通り終えておく必要があるということですね。

なぜ医学部だけ期間を長く取るのか。求められる得点率が違うからです。80%を超えたあたりから、1ポイント上げるのに必要な時間は加速度的に増えていきます。70%を75%にするのと、85%を90%にするのとでは、必要な労力がまったく違う。上位帯での1ポイントは、下位帯での5ポイントより重いという感覚を持っておいてください。だからこそ期間を長めに確保する必要があります。

そしてこの8〜12週間は、他の科目の演習を止めてでも確保する時間になります。共通テストにしか出ない科目(国語・社会など)の対策がここに入るためです。二次で使う英語・数学・理科の演習量が一時的に落ちることは織り込んでおいてください。年間計画を組むときに、この落ち込みを見込んでいないと1月以降に慌てることになります。

▶ 関連記事:医学部の共通テストボーダーは何割?戦略と目安を解説

二次試験で求められるのは「典型問題を100%」です

では二次試験対策は何をするのか。竹内個別の答えは明確で、典型問題を100%取り切ることです。難問題の対策は必要ありません。青チャート・272(新数学スタンダード演習)・標準問題精講レベルの問題を、確実に得点できる状態にする。ここが崩れていると、どれだけ難問を練習しても合格には届きません。医学部だから特別な対策が要るという先入観は、いったん外してください。

実例もあります。2026年に合格した岐阜大学医学部医学科では、岐阜大学の他の学部と同じ問題が出題されました。医学部だからといって特別に難しい問題が出るわけではないということです。難問はほとんど出題されませんし、仮に出てもミスで大きな差はつきません。差がつくのは典型問題での取りこぼしのほうです。

あえて「基本問題」とは言わず「典型問題」と呼んでいるのは、簡単だという意味ではないからです。よく出るパターンの問題を、時間内に確実に正解できる状態。これを全範囲で作るのは決して楽ではありません。ただし方向性ははっきりしています。やるべきことが明確なぶん、努力が結果につながりやすい領域だといえるでしょう。

この方針には、受験校が決まっていなくても対策を進められるという利点もあります。難問対策は大学ごとの出題傾向に依存しますが、典型問題はどこを受けるにしても必要です。志望校が固まっていない時期こそ、典型問題の完成度を上げるべきだという判断になります。共通テストが終わってから出願先を決める竹内個別の方針とも、ここで噛み合ってきます。

裏を返せば、典型問題が仕上がっていない段階で難問集に手を出すのは、順序が逆ということです。難しい問題を解けるようになれば簡単な問題も解ける、という発想は医学部受験では通用しにくい。本番で問われるのは処理の正確さと速さなので、取れる問題を確実に取り切る訓練のほうが得点に直結します。参考書のレベルを上げる前に、今使っている1冊の完成度を確認してください。

▶ 関連記事:医学部受験の対策と勉強法|典型問題100%が合格の鍵

「入りやすい医学部」を狙うのは戦略ではありません

1月までにやることは2つだけ

医学部の偏差値を調べる人の多くが、実は「どこなら入れるか」を知りたいのだと思います。検索データを見ても「偏差値が1番低い医学部はどこですか」という質問が、言い回しを変えて何度も出てきます。少しでも可能性の高いところを探したくなる気持ちは、よくわかりますよね。目標が遠く感じるほど、近道を探したくなるものです。ただ竹内個別の立場ははっきりしています。

> ボーダーが低い大学を狙うのは、そもそも戦略ではない

理由は2つあります。1つは、ここまで見てきたようにボーダーが低い大学というものが実質的に存在しないこと。国公立の23校が同率62.5である以上、「低いほうを選ぶ」という選択肢自体が幻です。もう1つは、仮に共通テストのボーダーが数ポイント低い大学があったとしても、そこを目標にすると全体の学力設計が下振れするからです。

竹内個別が実際に生徒と決めるのは、順番が逆になります。まず「その大学以外は受かっても行かないのか」を明確にするところから始めます。国公立医学部を目指すなら、多少実家から離れても現役で合格できるなら行きたい、という受験生がほとんどです。だとすれば、特定の1校に絞る意味は薄くなります。ここを最初に確認しておくと、後の判断が驚くほど楽になります。

そのうえで、受験学年の1月まではやることを2つに絞ります。①共通テストを最大化すること、②国公立の典型問題を得点できるようにすること。この2点だけです。大学別の対策は後回しで構いません。志望校を早く決めることより、どの大学でも通用する得点力を作るほうが先だと考えています。やることが2つに絞られていれば、日々の判断で迷う場面も減ります。

この2点に絞ることには、精神面の効果もあります。志望校が決まらないまま勉強を続けるのは不安ですよね。でも「今やるべきことは共通テストと典型問題の2つだけ」と決まっていれば、迷う時間がなくなります。やることが決まっている状態は、志望校が決まっている状態と同じくらい心理的に安定します。むしろ早く志望校を決めて、そこに届くか届かないかで一喜一憂するほうが消耗が大きいかもしれません。

もう一つ、志望校を早く絞ることのリスクも書いておきます。1校に決めてしまうと、その大学の配点や出題傾向に合わせて学習を最適化したくなります。ところが共通テストの結果次第では、その大学が現実的な選択肢から外れることもある。最適化した分だけ、他の大学への対応力が落ちているという状態は避けたいところです。全方位で通用する得点力を作っておくほうが、結果的に選択肢は広がります。

出願校は共通テストの結果で決めます

出願校は共通テスト後に決める

ここが竹内個別の指導で最も特徴的な部分かもしれません。受験校を明確にして過去問対策に入るのは、共通テストが終わってからです。それまでは出願先を確定させません。志望校を早く決めて対策を始めるのが定石だと考えている人からすると、逆に見えるかもしれませんね。ただ国公立医学部に限っては、この順番のほうが合理的だと考えています。

理由は単純で、共通テストの結果が出ないと出願校が決まらないからです。国公立医学部は共通テストの比重が大きく、結果次第で現実的な選択肢が大きく動きます。先に1校に決めてしまうと、結果が想定を超えたときも下回ったときも、判断が硬直してしまう。最大の努力を尽くした共通テストの結果を見てから、確実に合格できるボーダーラインを探して決定するというのが竹内個別のやり方です。

もちろん個人の希望は尊重します。ただし判断材料としてお伝えしているのは、浪人して偏差値の高い医学部に行くより、現役で国公立に入るほうが経済的価値は高いという事実です。医学部は入学してしまえば、出身大学が医師としてのキャリアに与える影響はほとんどありません。それよりも1年でも早く入学することのほうが、長い目で見た価値は大きくなります。

私立を併願するかどうかも、共通テストの結果で変わります。国公立第一志望で共通テストがD判定以上なら私立は滑り止めに1校、E判定なら現実的に2校というのが目安です。ただし私立の受験を1校増やすことは、過去問演習が1日減ることを意味します。第一志望の合格率を下げてでも受けるべきかを、そのつど計算する必要があります。

E判定で私立を2校にするのは、合格率の低さを踏まえて舵を切るという判断です。E判定から国公立に届く可能性はゼロではありませんが、確率で考えれば私立側に軸足を移したほうが「1年でも早く入学する」という目標には近づきます。判定を精神論で覆そうとするのではなく、数字を見て出願構成を組み替えるという考え方ですね。ここは感情が入りやすい場面なので、事前に基準を決めておくことをおすすめします。

なお、学費の関係で私立が最初から選択肢にない場合は、私立を受ける必要はありません。「練習になる」という理由で受験する人がいますが、竹内個別はこれを勧めていません。過去問を自習室で解いたほうが、よほど練習になります。受験料と移動時間、そして本番前の体力を考えると、行く可能性のない大学を受けるコストは想像より大きいものです。

▶ 関連記事:私立医学部の受験戦略で合格率を最大化させる方法とは?状況別の出願数も徹底解説

偏差値40台・50台から医学部を目指せるか

検索データでよく見かけるのが「偏差値40からでも医学部に合格できますか」「偏差値55から受かりますか」という質問です。ここには誤解が混ざっているので、整理しておきます。河合塾のボーダー偏差値62.5〜72.5という数字は、入試本番で必要な学力の水準を示すものであって、今の模試の数字がそこに届いていないから無理、という意味ではありません。

竹内個別の考え方では、「1日何時間やれば受かる」という問いと同じで、現在の偏差値だけでは答えが出ません。その生徒ごとに合格までに必要な参考書が決まっていて、それを本番までにこなし切れるかどうかが問題になります。高3から1日10時間やって受かった生徒がいても、スタート時点で青チャートが完成していたのか、黄チャートからだったのかで話はまったく変わってきます。

つまり見るべきは現在の偏差値ではなく、必要な参考書と残り時間の関係です。ここを計算せずに「偏差値40だから無理」と判断するのも、「気合いで何とかなる」と考えるのも、どちらも精度が低い。竹内個別が最初に学習計画を作るのは、この計算を先に済ませるためです。計算した結果、間に合わないとわかることもあります。それでも早く知るほど打ち手は多く残ります。

学年によって考え方も変わります。高1・高2であれば、現在の偏差値はほとんど参考になりません。この段階で必要なのは、英語と数学の土台を作ることです。特に英語は積み上げに時間がかかるので、早く始めた人ほど有利になります。高3の夏以降は理科と数学の学習量が急増するため、英語に割ける時間が大幅に減るという構造も知っておいてください。高3になってから英語を始めると、他科目を圧迫します。

高3や既卒の段階でこの記事を読んでいる場合は、残り時間から逆算するしかありません。必要な参考書を洗い出し、1冊あたりの所要時間を見積もり、本番までに終わるかを確認する。終わらないなら、範囲を絞るか志望を変えるかの判断が要ります。この計算を先送りにするほど、選べる選択肢は減っていきます。不安なままにしておくより、数字にしてしまったほうが動けるようになるはずです。

▶ 関連記事:医学部合格に必要な勉強時間|逆算式で決める正しい考え方

科目の優先順位についても触れておきます。竹内個別では英語・数学・理科を優先します。二次試験でも使う科目なので、共通テスト対策と二次対策が同じ方向を向くからです。ただし得意不得意には個人差があるので、この順番も絶対ではありません。理科の科目選択は、学校の先生の教え方が上手なほうを選ぶのが現実的でしょう。塾や予備校で補強はできますが、学校で完成させられるのが一番効率的です。

実際に基礎から積み上げて結果を出した例もあります。竹内個別で英検2級に合格したひとみさんは、単語→文法→解釈→長文という順番で英語を組み立てて偏差値49から57まで伸ばしました(2025年度・当塾在籍生)。医学部受験でも、土台を順番に固める設計は変わりません。何をどの順番でやるかが決まれば、伸びる科目は自然に伸びていきます。

【偏差値49→57&英検2級合格!】
ひとみさん × 塾長 対談を読む

偏差値ランキングを見るときの3つの注意点

ランキングを見る3つの注意点

最後に、ランキングを活用するうえで押さえておきたい点をまとめます。数字そのものは有用な情報なので、使い方を間違えないことが大事です。

1つ目は、何のデータかを確認すること。河合塾のボーダー偏差値なのか、進研模試の値なのか、各社の合成指標なのかで数字はまったく変わります。同じ大学でも、参照するデータによって「偏差値65」にも「第35位」にもなる。記事を読むときは、出典と基準日を必ず見てください。ボーダーは毎年更新されるので、古いデータを参照していないかも重要です。

2つ目は、同率が大量にあることを前提に見ること。国公立23校が62.5に並んでいる以上、その中での序列は偏差値からは読み取れません。差を知りたいなら共通テストのボーダー得点率を見るほうが正確です。倍率や面接の比重など、偏差値に現れない要素もあります。順位表の数字を細かく比べるより、別の指標に切り替えるほうが早いということですね。

3つ目は、志望校決定を偏差値だけで完結させないこと。通学や生活の条件、学費、卒業後の進路の希望など、判断材料は他にもあります。特に私立は学費の差が非常に大きく、家庭の状況によっては偏差値以前に選択肢から外れる大学もあるでしょう。竹内個別では、学費の関係で私立が選択肢にないなら私立は受けないという方針を採っています。時間の無駄になるからです。

面接や小論文の比重も、偏差値表には現れない要素です。医学部は他学部と違い、ほぼすべての大学で面接が課されます。配点が明示されている大学もあれば、点数化せず参考程度に扱う大学もある。学科試験で同点なら面接で差がつくということでもあるので、まったく対策しないという選択肢はありません。ただし面接対策に学科の時間を大きく削るのも本末転倒なので、配分の判断が必要になります。

竹内個別では面接と小論文の指導も行っていますが、時期としては学科の目処が立ってからです。共通テストが終わってから出願先を決める流れとも合致します。志望理由を練り込むのも、受ける大学が決まってからのほうが具体的に書けるはずです。順番を守ることが、ここでも効率につながります。早い時期から面接を心配する必要はありません。

▶ 関連記事:医学部の面接対策|よく聞かれる質問10選と回答の方向性を解説

▶ 関連記事:医学部の受験科目一覧|国公立・私立の違いと対策の優先順位

FAQ

Q1. 偏差値が一番低い医学部はどこですか?

A. 河合塾の2027年度ボーダー偏差値では、国公立の最下位帯は62.5で23校が同率です。私立の最下位帯は60.0で東京女子医科・川崎医科の2校になります。ただし同率が大量にあるため「一番低い1校」を特定する意味はほとんどありません。差を知りたい場合は共通テストのボーダー得点率を見てください。

Q2. 医学部の偏差値は何段階に分かれていますか?

A. 河合塾のボーダー偏差値では、国公立50校が62.5〜72.5の5段階、私立31校が60.0〜72.5の6段階です。合わせて81校が実質7つの数字にしか分かれていません。ランキング記事で見かける細かい順位は、共通テスト得点率や倍率などを合成した各社独自の指標によるものです。数字を見るときは、何を根拠にした順位なのかを必ず確認してください。

Q3. 偏差値40台から医学部に合格できますか?

A. 現在の偏差値だけでは判断できません。竹内個別では、その生徒に必要な参考書と本番までの残り時間の関係で判断しています。高3から1日10時間やって受かった生徒がいても、スタート時点で青チャートが完成していたか黄チャートからかで話はまったく変わります。まず必要な参考書を洗い出し、残り時間で終わるかを計算してください。

Q4. 共通テストは何%必要ですか?

A. 河合塾のデータでは国公立医学科の共通テストボーダー得点率は前期で79%〜93%、後期で86%〜95%です。竹内個別では「80%取れなければそもそも受験すらできない」という前提で計画を組みます。ボーダーが低い大学を探すのではなく、共通テストを最大化してから出願先を決めるという順番になります。医学部志望の共通テスト対策期間は8〜12週間を見込んでください。

Q5. 志望校はいつ決めればいいですか?

A. 出願校を確定させるのは共通テストのあとです。それまでは①共通テストを最大化すること、②国公立の典型問題を得点できるようにすること、この2点に絞ります。共通テストの結果次第で現実的な選択肢が大きく動くため、先に1校へ絞ると判断が硬直します。大学別の過去問対策は結果が出てからで間に合いますし、そのほうが対策の精度も上がります。

Q6. 医学部の二次試験では難問対策が必要ですか?

A. 必要ありません。竹内個別の方針は「典型問題を100%取り切る」です。2026年に合格した岐阜大学医学部医学科では、岐阜大学の他学部と同じ問題が出題されました。難問はほとんど出題されず、出てもミスで大きな差はつきません。青チャート・272・標準問題精講レベルを確実に得点できる状態を作ってください。

Q7. 私立医学部は何校受けるべきですか?

A. 共通テストの結果で変わります。国公立第一志望で共通テストD判定以上なら滑り止めに1校、E判定なら2校が目安です。私立第一志望でどこでも医学部に入れればよいなら3校まで。4校以上は過去問対策が中途半端になります。ただし学費の関係で私立が選択肢にないなら、受けないほうが時間を有効に使えます。「練習になる」という理由での受験は勧めていません。

Q8. 偏差値の高い医学部を目指して浪人すべきですか?

A. 竹内個別は現役合格を優先する立場です。医学部は入学してしまえば出身大学が医師としてのキャリアに与える影響はほとんどありません。一方で1年浪人すると、医師としての最終年の年収が失われる計算になります。個人の意思は尊重しますが、判断材料としてこの経済的な差はお伝えしています。1年でも早く入学することの価値は、想像より大きいと考えてください。

▶ 関連記事:香川大学医学部の配点と対策|共テで数学と英語が半分になる

▶ 関連記事:東京科学大学医学部の配点と対策|二次で難問まで必要

まとめ

河合塾の2027年度入試難易予想ランキング表から医学科を抽出すると、国公立50校は62.5〜72.5の5段階、私立31校は60.0〜72.5の6段階にしか分かれていませんでした。しかも国公立の46%にあたる23校が同じ62.5です。世の中のランキング記事にある細かい順位は、各社が設計した合成指標によるものだと理解しておいてください。

だからこそ「入りやすい医学部を探す」という発想は、竹内個別では戦略として扱っていません。判断の順番を整理しておきます。

  • 二次偏差値は5〜6段階しかない。ここで受験校は絞れない
  • 差がつくのは共通テスト(国公立前期で79〜93%の幅)
  • 二次対策は典型問題を100%。難問対策は不要
  • 出願校は共通テストの結果を見てから決める
  • 現役で入ることの価値を、浪人と比べて計算する

偏差値ランキングは、志望校を絞り込むための道具としては機能しません。国公立23校が同率62.5である以上、この表から「自分に合う1校」を選ぶことはできないからです。使うとすれば、医学部全体がどの水準にあるのかを把握するための地図として。そのうえで実際の判断は、共通テストの得点率と生活条件で行うというのが竹内個別の考え方になります。

医学部受験は範囲が広く、やるべきことも多い分野です。ただし方向性ははっきりしていて、共通テストを最大化し、典型問題を確実に取れる状態を作る。この2つに集中できれば、選択肢は自然に広がっていきます。自分に必要な参考書が何で、残り時間で終わるのかどうか。まずはそこを計算するところから始めてください。数字にしてしまえば、次にやることは自動的に決まります。

共通テストで何%必要か、そこから逆算して1日の学習をどう組むか。記事では触れていない個別の設計は医学科特化コースで扱っています。

著者:竹内個別戦略室 尾崎侑絃(岐阜大学医学部医学科卒業・医師免許保持)
監修:竹内個別塾長 竹内壮志(名古屋大学工学部卒業)

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