指定校推薦はやめた方がいい?デメリットと入学後に本当に起きること

指定校推薦のデメリットは、言われているほど大きくありません。「入学後についていけない」「留年する」といった話をよく見かけますが、竹内個別で指定校推薦を使った生徒のなかに、留年や退学に至った例はこれまでありません。過度に恐れる必要はないというのが、率直な実感です。不安の多くは、情報の偏りから生まれています。

ただし、本当に残るデメリットが1つだけあります。それは志望校を推薦枠に合わせてしまうことです。行きたい大学があるのに、枠があるという理由で別の大学を選んでしまう。これが指定校推薦で最ももったいない使い方になります。この記事では、世間で言われるデメリットを1つずつ検証したうえで、判断の基準をお伝えします。

この記事でわかること

  • 指定校推薦のデメリットは実際どの程度なのか
  • 「入学後についていけない」は本当か(理系と医学部で違う)
  • 「ずるい」「嫌われる」と言われる理由と、気にしなくていい理由
  • 本当に残るたった1つのデメリット
  • 指定校推薦を使わないほうがいい人

指定校推薦のデメリットは?

指定校推薦のデメリットは?

結論から言えば、多くは過大に語られています。指定校推薦を扱う記事の多くは、総合型選抜や一般入試を勧める立場から書かれているため、デメリットが強調されやすい構造にあります。実際に生徒を見ている側の実感とは、少しずれているのが正直なところです。まずは世間で言われるデメリットを整理し、それぞれ実際どうなのかを確認していきましょう。実態と印象のズレを、順に確かめていきましょう。実際に生徒を送り出している側から見ると、心配すべき点とそうでない点ははっきり分かれます。

よく言われるデメリットは5つ

一般的に挙げられるデメリットは、おおむね次の5つに集約されます。専願なので他大学を受験できないこと、合格したら辞退できないこと、入学後に授業についていけない可能性、周囲から「楽をした」と見られること、そして高校3年間ずっと評定を維持する負担です。どれも一度は目にしたことがあるはずです。ネット上の記事を数本読めば、ほぼ同じ並びに出会うはずです。

このうち、制度上の事実として動かせないのは最初の2つだけになります。専願と辞退不可は、指定校推薦という仕組みそのものの性質です。残りの3つは「そう言われている」だけで、実際にどの程度起きるのかは検証が必要でしょう。この記事では、そこを1つずつ見ていきます。事実と印象を分けて考えることが、判断の第一歩になります。逆に言えば、残りの3つは対策次第で小さくできるということでもあります。

先に結論を言っておくと、入学後の心配と周囲の目については、ほとんど気にする必要がありません。一方で、専願・辞退不可から派生する問題のほうが、はるかに重要です。順番に説明していきます。どこを心配すべきかが分かれば、判断はぐっと楽になります。限られた時間は、動かせない部分の検討に使うほうが有益でしょう。

本当に残るデメリットは1つだけ

竹内個別が考える指定校推薦の本当のデメリットは、志望校を推薦枠に合わせてしまうことです。専願で辞退できないという制度上の制約が、この問題を生みます。枠がある大学のなかから進路を選ぶという発想になった瞬間、志望校選びが受け身になってしまうからです。制度そのものではなく、使い方の問題だといえます。仕組みを恨むのではなく、使い方を設計する話だと捉えてください。

行きたい大学があるなら、手段は問わずに方法を探すべきです。推薦枠があるなら推薦を使えばいいですし、枠がないなら勉強して入ればいい。それだけの話になります。ところが「枠があるから」という理由だけで進路を決めてしまうと、本来行きたかった大学が選択肢から静かに消えていきます。手段の優劣ではなく、行き先を先に決めるという発想です。

一度きりの人生で、わざわざ第二選択の大学を目指す必要はないはずです。もちろん勉強するのが面倒で、推薦枠のなかから探したいという判断もあり得ます。それ自体を否定はしません。ただ、その判断を自覚したうえで選んでいるかどうかが分かれ目になります。流されて決めた進路は、あとから理由を思い出せなくなります。数年後に振り返ったとき、理由を語れる進路にしておきたいところです。

入学後についていけないというのは本当か?

入学後についていけないというのは本当か?

部分的には本当ですが、言われているほど深刻ではありません。学部によって差があり、一律に語れる話ではないからです。竹内個別で見てきた範囲の実感を、正直にお伝えします。ここを曖昧なままにすると、必要以上に不安が大きくなります。学部ごとの事情を知らないまま不安になっているケースが、かなり多い印象です。まずは学部ごとの違いから整理していきます。

理系は影響が出ることがある

理系学部については、入学後に苦労する場面が出てくることがあります。入学直後から専門科目が始まるため、数学や物理の基礎が固まっていないと、初回の講義からつまずく可能性があるからです。一般入試組は直前まで問題を解き続けているぶん、スタート時点での差が出やすくなります。特に数学は、間が空くと手が動かなくなりやすい科目です。

とはいえ、これは「入学までに何もしなければ」という前提の話です。高3の秋に推薦が決まってから入学まで、およそ半年の空白ができます。この期間に数学の問題集を一切開かないでいると、感覚が鈍るのは自然なことでしょう。差がつくのは学力そのものというより、手を動かしていた時間の差だといえます。逆に言えば、少しでも続けていれば防げる差だということです。

ただし竹内個別では、それが原因で留年した生徒も退学した生徒もいません。追いつけない差ではないということです。理系に進むなら意識しておいて損はありませんが、指定校推薦を避ける理由にはならないと考えています。入学後の心配だけを理由に推薦を見送るのは、判断としてもったいないでしょう。心配の大きさと、実際に起きることの大きさは別物です。

医学部はそれほど困らない

一方、医学部についてはそれほど困らないという印象です。理由の1つは、そもそも医学部の指定校推薦枠が非常に限られており、選ばれる生徒の学力水準が高いこと。もう1つは、医学部の初年次カリキュラムが一般教養から始まることが多く、いきなり専門に入る学部とは事情が違うためです。同じ理系でも、置かれる状況はかなり違います。進学先の学部がどちらに近いかで、必要な準備は変わってきます。

つまり「推薦だから困る」のではなく、学部の構造によって差が出るということになります。理系という括りでひとまとめにすると実態を見誤るので、志望する学部の初年次カリキュラムを確認しておくと安心でしょう。入学前にシラバスを眺めておくだけでも、心構えは変わります。大学の公式サイトでカリキュラムを確認すれば、1年次に何を学ぶかはすぐ分かります。

留年・退学に至った生徒は見たことがない

ネット上では「指定校推薦は留年する」「退学する」といった強い表現も見かけます。ただし竹内個別に関して言えば、指定校推薦で入学した生徒が留年や退学に至った例はこれまでありません。もちろん全国のすべてのケースを知っているわけではありませんが、少なくとも実感として過度に恐れる必要はないと考えています。強い言葉ほど拡散されやすい、という点は覚えておいてください。

こうした話が広まる理由は、印象に残りやすいからでしょう。うまくいっている大多数は話題になりませんが、うまくいかなかった少数の例は語られやすい。ネット上の情報は、この偏りを含んでいる前提で読んだほうがいいといえます。分母が見えない情報は、実際より深刻に映るものです。何人中何人の話なのかが書かれていない情報は、まず疑ってください。

もし不安が残るなら、対策はシンプルです。推薦が決まったあとも、数学と英語だけは手を止めないこと。1日30分でも構いません。それだけで、入学後の心配はほぼ解消できるでしょう。やることが決まっていれば、不安は自然と小さくなります。入学までの半年で、高校範囲を一通り触り直しておけば十分でしょう。

「ずるい」「嫌われる」と言われるのはなぜ?

「ずるい」「嫌われる」と言われるのはなぜ?

一定はあります。ただし気にする必要はありません。理由は、評価されているものが違うだけだからです。ここは指定校推薦を選ぶ生徒が最も気にする部分なので、丁寧に説明します。言われる側になったときに、どう受け止めるかを整理しておきましょう。実際に言われて落ち込む生徒もいますが、構造を知れば受け止め方が変わります。

努力量が見えないから

一般入試に向けて勉強している人からすると、指定校推薦で進学する生徒は努力量が少なく見えます。夏に400時間の勉強をしている横で、秋には進路が決まっている。この構図だけを見れば、そう思われるのも無理はないでしょう。実際に「ずるい」という言葉が出てくる背景には、この見え方の差があります。見え方の差が、そのまま感情の差になっているわけです。

ただし、これは見えている部分だけを比べているという点に注意が必要です。一般入試の努力は模試の偏差値や勉強時間という形で可視化されますが、指定校推薦に必要な努力は数字に表れにくいものだからです。比較の土俵そのものが違うといえます。数字にならない努力は、外からは存在しないように見えます。遅刻をしなかった日々や、毎回のテスト対策は誰の目にも入りません。

評価されているものが違うだけ

指定校推薦で大学に進むためには、成績に表れない学校での立ち振る舞いや、先生との関係構築が評価されなければなりません。3年間、遅刻や欠席を管理し続けること。定期テストで毎回順位を取り続けること。進路について一貫した姿勢を示し続けること。どれも一朝一夕にはできません。3年間ずっと気を抜けないという意味では、負荷は決して軽くありません。

つまり指定校推薦で選ばれる生徒は、偏差値では測れないものを評価されているということです。3年間の継続性、自己管理能力、周囲との関係づくり。これらは社会に出てから重視される力でもあります。一般入試とは違う軸で評価されているだけで、努力していないわけではありません。評価の物差しが違うだけで、優劣の話ではありません。

この構造を理解していれば、「ずるい」という言葉に動揺する必要はなくなります。評価軸が違うものを同じ物差しで比べているだけだからです。堂々としていて構いません。言われたときに説明できる状態にしておくと、気持ちが揺れにくくなります。仮に言われたとしても、評価軸が違うと分かっていれば揺れずに済みます。言葉に反応するより、自分が積み上げたものを数えるほうが建設的です。

就職で不利になることはあるか

「指定校推薦だと就職に不利になる」という話も見かけますが、そのような事実は確認されていません。企業の採用選考で入試方式を問われる場面は、基本的にないからです。大学名と、大学で何をしたかが見られます。入試方式が履歴書に残るわけでもありません。仮に聞かれたとしても、3年間の継続性を説明できれば十分に答えになります。

むしろ気にすべきは入試方式ではなく、大学4年間をどう過ごすかでしょう。推薦で早く進路が決まったぶん、入学までの時間を使って興味のある分野を掘り下げておく。そのほうが、就職活動で語れる材料は増えるはずです。早く決まったことを、そのまま強みに変えられます。入学前に読んでおいた本や、始めておいた活動が後で効いてきます。

▶ 関連記事:指定校推薦は落ちる?落ちる場所と、落ちたあとの動き方を解説

本当のデメリットは「志望校を枠に合わせること」

本当のデメリットは「志望校を枠に合わせること」

ここまで見てきたとおり、入学後の心配と周囲の目については過度に恐れる必要がありません。では何が本当のデメリットなのか。それが志望校選びが受け身になることです。この記事で最もお伝えしたい部分になります。ここからが本題だと考えてください。制度の使い方そのものに関わる話になります。

枠がある大学から選ぶという発想の危うさ

指定校推薦を検討し始めると、多くの生徒が「うちの高校にはどの大学の枠があるか」から考え始めます。一見すると合理的ですが、この順番には落とし穴があります。枠のリストが、そのまま志望校の候補リストになってしまうからです。順番が入れ替わっていることに、本人はなかなか気づけません。枠のリストを先に見てしまうと、そこに載っていない大学は最初から検討の外に置かれます。

本来は「行きたい大学はどこか」が先にあり、そのうえで「そこに枠があるか」を確認するのが正しい順番でしょう。ところが実際には逆になりがちです。枠を見てから行きたい気持ちを後づけしてしまうと、志望動機が曖昧なまま進路が決まります。志望動機を後づけした進路は、入学後に揺らぎやすくなります。気づいたときには、候補が枠のリストと同じになっています。

この状態で入学すると、何が起きるか。大学生活の途中で「本当はこの大学じゃなかった」という気持ちが出てくることがあります。指定校推薦は辞退できないため、その時点で選び直しがききません。制度上の制約と、受け身の志望校選びが組み合わさったときに、最も後悔が生まれやすくなります。進路そのものより、決め方のほうが後悔を左右します。

行きたい大学に枠がないならどうするか

答えはシンプルで、勉強して入ればいいというだけです。推薦枠があるなら推薦を使う。枠がないなら一般入試で入る。手段はどちらでも構いません。大事なのは、行きたい大学に届く方法を探すことであって、枠の有無で志望校を決めることではないからです。推薦がないことは、志望校を諦める理由になりません。手段が1つ塞がっただけで、道が消えるわけではありません。

ここで多くの受験生が「自分の高校からその大学は難しい」と考えてしまいます。しかしこれは誤解です。どの高校にいたとしても、大学に入るために必要な勉強量と参考書は決まっています。高校のレベルが直接合否を決めるわけではありません。進学実績が少ない高校でも、必要な参考書が変わるわけではないからです。必要な参考書と時間さえ把握できれば、あとは埋めていく作業になります。

竹内個別が受験勉強を「志望校に必要な参考書を仕上げる作業」と定義しているのは、このためです。志望校が決まれば必要な参考書が決まり、参考書が決まれば必要な勉強時間が決まります。あとはその総量をこなせるかどうか。努力すれば志望校に合格できる確率は高まります。やるべきことが決まっている以上、あとは時間の使い方の問題になります。

推薦枠のなかから選ぶという判断もあり得る

誤解のないように言っておくと、推薦枠のなかから進路を選ぶこと自体が悪いわけではありません。勉強するのが面倒だから枠のなかで探したい、という判断もあり得ます。人生の優先順位は人それぞれだからです。どちらを選んでも間違いではありません。進路の決め方に唯一の正解はありません。優先したいものが人によって違うのは、当然のことです。

問題なのは、その判断を自覚しないまま流されることでしょう。「枠があったから」という理由だけで決めた進路は、あとから理由を思い出せなくなります。逆に「勉強を選ばなかったから枠のなかで決めた」と自覚していれば、納得感は大きく変わるはずです。納得して選んだ進路は、入学後の踏ん張りにもつながります。自分で決めたという感覚が、大学生活の土台になります。

一度きりの人生で、わざわざ第二選択の大学を目指す必要はありません。ただし第二選択でいいと自分で決めたのなら、それは立派な判断です。大切なのは、選んでいるか流されているかの違いになります。後悔の少ない進路とは、自分で選んだと言い切れる進路のことです。

▶ 関連記事:勉強計画の立て方|入試日から逆算する5ステップで合格をつかむ方法

専願・辞退できないという制度上の制約

専願・辞退できないという制度上の制約

ここまで「入学後は心配ない」「周囲の目も気にしなくていい」と書いてきましたが、制度上の事実として動かせない制約が2つあります。専願であることと、合格後に辞退できないことです。本当のデメリットはここから派生するため、仕組みを正確に押さえておきましょう。ここだけは、努力や心構えでは変えられない部分になります。

出願できるのは1校だけ

指定校推薦は専願制です。校内選考を通過して出願できるのは、原則として1校のみになります。一般入試のように併願して比較検討することはできませんし、他大学の合格と天秤にかけることもできません。出願した時点で、進路は事実上ひとつに絞られます。複数の合格を並べて比べるという選び方が、そもそもできません。

これが一般入試と決定的に違う点です。一般入試なら、複数校に合格したうえで最終的に選べます。学費、立地、実際に受かった学部を見比べて決められるわけです。指定校推薦にはその余地がありません。選択の自由度と引き換えに、高い合格可能性を得ている制度だと理解してください。どちらが優れているかではなく、性質が違うという話です。

合格したら必ず入学する

もうひとつが辞退できないという点です。指定校推薦は高校と大学の信頼関係で成り立っているため、合格後に辞退すると翌年以降の枠に影響が出る可能性があります。自分ひとりの問題ではなく、後輩の進路にも関わる話になるということです。高校が長年かけて築いた関係の上に、枠が成り立っているからです。

そのため、出願の意思表示は実質的に最終決定を意味します。「とりあえず出しておいて、あとで考える」ということができません。一般入試の感覚で出願すると、あとから身動きが取れなくなります。ここは制度の性質として、はっきり認識しておくべき部分でしょう。迷いがあるうちは、出願書類を書き始めないほうが安全でしょう。

だから出願前の判断がすべて

この2つを合わせると、指定校推薦は出願前にすべての判断を終えておく必要がある制度だと分かります。出願してから考え直す余地がないため、迷いを残したまま進むとあとで苦しくなります。

具体的には、次の3点を出願前に確認してください。その大学に4年間通う自分を想像できるか。学部の内容が本当に興味のある領域か。そして、枠がなかったとしても行きたいと思えるか。この3つにイエスと答えられるなら、専願であることはデメリットになりません。むしろ早く進路が決まるメリットのほうが上回るでしょう。

逆に、どれか1つでも引っかかるなら、いったん立ち止まる価値があります。制度上取り返しがきかないぶん、判断を急がないことが最大の対策になります。

指定校推薦を勧めない生徒

指定校推薦を勧めない生徒

竹内個別として、指定校推薦を積極的に勧めないケースがあります。判断基準は1つだけで、その大学が志望校かどうかです。制度の良し悪しではなく、使い方で判断しています。

志望校でないのに枠があるから選ぶ場合

最も勧めないのが、志望校ではないのに枠があるという理由で進んでしまうケースです。もったいない、の一言に尽きます。合格という結果は手に入りますが、行きたかった場所ではない。この状態で4年間を過ごすのは、時間の使い方として惜しいと考えています。進学先は決まっても、目的が決まっていない状態になるからです。

判断のしかたはシンプルです。その大学に枠がなかったとしても、勉強して行きたいと思えるか。この問いにイエスと答えられるなら、推薦を使う価値は十分にあります。ノーなら、いったん立ち止まったほうがいいでしょう。迷ったら、この問いに立ち返ってください。周囲の意見より、この問いへの自分の答えを優先してください。

国公立を志望している場合

指定校推薦は私立大学が中心の制度です。国公立大学にも一部で存在しますが、枠は限られています。国公立を第一志望にしているなら、そもそも指定校推薦は主軸になりません。共通テスト対策を進めるほうが優先度は高いでしょう。制度の設計上、国公立志望とは噛み合いにくい部分があります。併願できない以上、国公立と両立させる設計は組みにくくなります。

この場合、指定校推薦を検討すること自体が時間の分散になる可能性があります。私立の枠を確保しておく安心感はありますが、専願であるため国公立との併願ができません。制度の性質上、国公立志望とは相性が悪いという点は理解しておいてください。どちらつかずになるのが、いちばん避けたい形でしょう。どちらを主軸にするかを、早めに決めておくことをおすすめします。

逆に、勧めるケース

一方で、志望校に枠があるなら取れるのであれば取っておいたほうがいいというのが竹内個別の立場です。選択肢が増えること自体に価値があるからです。ただしそれは、学年が低いうちから定期テストで順位を取れていることが前提になります。条件が揃っているなら、使わない手はありません。チャンスがあるなら取りにいくのが自然な判断です。

高2・高3から評定を挽回して枠を狙うのは、率直に言って現実的ではありません。評定平均は高1から積み上がるものだからです。いま高1・高2で志望校が決まっているなら、定期テストを大事にしておく価値は十分にあります。逆に高1なら、まだ十分に間に合う段階です。学年が早いほど、選択肢を増やす余地は大きくなります。

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指定校推薦のメリットも整理しておく

デメリットの検証が中心になりましたが、メリットも当然あります。判断材料として、あわせて確認しておきましょう。両面を並べたうえで判断するのが、いちばん納得感があります。片側だけを見て決めると、あとから納得感が薄れます。

早く進路が決まる

最大のメリットは、11月から12月に進路が確定することです。一般入試組が2月まで走り続けるのに対し、2〜3ヶ月早く受験が終わります。精神的な負担が軽くなるのは事実でしょう。受験のストレスから解放される時期が早いという点は、無視できない価値があります。同級生が追い込みに入る時期に、次の準備を始められます。

ただしこの時間をどう使うかで、その後が変わります。何もせずに過ごせば入学後に差が出ますし、興味のある分野を掘り下げれば大きな財産になるでしょう。空いた時間は、使い方次第で価値が変わるという点だけ意識しておいてください。半年という期間は、思っている以上に長いものです。一般入試組が最後の追い込みをしている期間でもあります。

受験費用を抑えられる

一般入試では複数の大学に出願するため、受験料と交通費がかさみます。私立を3校受ければ受験料だけで10万円前後、遠方なら宿泊費も必要です。指定校推薦は1校のみなので、この負担がありません。家計への影響という意味では、はっきりしたメリットになります。併願校が多いほど、この差は開いていきます。

3年間の努力が正当に評価される

これは見落とされがちな点ですが、日々の積み重ねが評価される入試方式だという点は大きな価値です。一般入試は当日の点数がすべてで、本番の体調や運も絡みます。一方で指定校推薦は、3年間の継続性という別の軸で評価されます。当日の運に左右されにくい、という言い方もできるでしょう。入試方式は、自分の得意な戦い方で選ぶという発想も持てます。

コツコツ積み上げるのが得意な生徒にとって、これは相性のいい制度でしょう。当日の一発勝負が苦手な生徒にとっても同じことがいえます。自分の強みが評価される方式を選ぶという視点は、進路選択で意外と重要になります。自分がどちらのタイプかを考えてみてください。得意な土俵で勝負するほうが、結果は出しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 指定校推薦のデメリットは何ですか?

A. よく挙げられるのは、専願で他大学を受験できない、合格後に辞退できない、入学後についていけない可能性、周囲から楽をしたと見られる、3年間評定を維持する負担の5つです。ただし竹内個別の実感では、入学後の心配と周囲の目については過度に恐れる必要がありません。本当に残るデメリットは、志望校を推薦枠に合わせてしまうことだと考えています。

Q2. 指定校推薦はやめた方がいいですか?

A. 志望校に枠があるなら、取れるのであれば取っておいたほうがいいというのが竹内個別の立場です。選択肢が増えること自体に価値があります。一方で、志望校ではないのに枠があるという理由だけで進むのはもったいないと考えています。判断基準は「その大学に枠がなかったとしても、勉強して行きたいと思えるか」です。

Q3. 指定校推薦で入ると入学後についていけませんか?

A. 学部によります。理系学部は入学直後から専門科目が始まるため、影響が出ることがあります。一方で医学部はそれほど困らない印象です。なお竹内個別では、指定校推薦で入学した生徒が留年や退学に至った例はこれまでありません。不安があるなら、推薦が決まったあとも数学と英語だけは1日30分でも続けておけば十分でしょう。

Q4. 指定校推薦は「ずるい」と思われますか?

A. 一定はあります。一般入試に向けて勉強している人からすると、努力量が少なく見えるためです。ただし気にする必要はありません。指定校推薦で選ばれるには、成績に表れない学校での立ち振る舞いや先生との関係構築が評価される必要があるからです。偏差値では測れないものが評価されているだけで、評価軸が違うにすぎません。

Q5. 指定校推薦は就職で不利になりますか?

A. そのような事実は確認されていません。企業の採用選考で入試方式を問われる場面は基本的になく、大学名と大学で何をしたかが見られます。気にすべきは入試方式ではなく大学4年間の過ごし方でしょう。推薦で早く進路が決まったぶん、入学までの時間を使って興味のある分野を掘り下げておくほうが有益です。

Q6. 行きたい大学に指定校推薦の枠がない場合はどうすればいいですか?

A. 勉強して一般入試で入ればいいだけです。行きたい大学があるなら、手段は問わずに方法を探すべきだと考えています。どの高校にいたとしても、大学に入るために必要な勉強量と参考書は決まっているため、努力すれば合格できる確率は高まります。枠の有無で志望校を決めてしまうと、本来行きたかった大学が静かに選択肢から消えてしまいます。

Q7. 国公立志望でも指定校推薦を使えますか?

A. 一部の国公立大学にも枠はありますが、指定校推薦は私立大学が中心の制度で、国公立の枠は限られています。加えて専願であるため、国公立との併願ができません。国公立を第一志望にしているなら、指定校推薦は主軸にならないと考えたほうがいいでしょう。共通テスト対策を優先するほうが合理的です。

Q8. 指定校推薦のメリットは何ですか?

A. 主に3つあります。11月から12月に進路が確定するため受験のストレスから早く解放されること、受験料や交通費を抑えられること、そして3年間の積み重ねが評価される方式であることです。特に3つ目は、当日の一発勝負が苦手な生徒や、コツコツ積み上げるのが得意な生徒にとって相性のいい制度だといえます。

まとめ

ここまで見てきたとおり、世間で語られるデメリットの多くは過大です。入学後については理系で影響が出ることはあるものの、竹内個別では留年や退学に至った生徒はいません。「ずるい」と言われる件も、評価されているものが違うだけなので気にする必要はないでしょう。心配すべき点は、実はもっと手前にありました。

本当に残るデメリットは1つだけです。

  • 志望校を推薦枠に合わせてしまうこと

専願で辞退できないという制度上の制約があるため、枠を見てから志望校を決めると、選び直しがきかなくなります。判断基準はシンプルで、その大学に枠がなかったとしても、勉強して行きたいと思えるか。ここにイエスと答えられる進路であれば、推薦は強い味方になります。逆にノーなら、出願前に一度立ち止まってください。

そして、行きたい大学に枠がないなら勉強して入ればいいだけです。必要な参考書は志望校ごとに決まっているため、高校のレベルが合否を直接決めるわけではありません。枠の有無だけで進路を諦めてしまうのは、あまりにもったいない判断でしょう。必要な努力量が決まっている以上、あとは動くかどうかだけの問題です。

推薦はあくまで保険であり、本番の入試で点数を取れる実力は必要です。その実力があれば、推薦は純粋に選択肢を増やしてくれます。

著者:竹内個別戦略室 尾崎侑絃(岐阜大学医学部医学科卒業・医師免許保持)
監修:竹内個別塾長 竹内壮志(名古屋大学工学部卒業)

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