東邦大学医学部の配点と対策|基礎学力50点は1次では使われない
東邦大学医学部医学科の入試で最初に押さえるべきなのは、基礎学力50点が1次試験の合否判定に使われないという点です。1次試験は理科200点・数学100点・外国語150点の合計450点満点で合否が決まります。基礎学力は1日目の最後に60分かけて受験するにもかかわらず、採点結果が効いてくるのは2次試験の選抜時。この構造を知らないまま「1次は500点満点」と思い込んで得点計画を立てると、必要な点数の見積もりがずれてしまいます。
もうひとつ、東邦には科目別の基準点があります。募集要項には「物理、化学、生物、数学、外国語に基準点を設け、1科目でも基準点に達しない場合は、不合格になることがあります」と明記されています。得意科目で稼いで苦手科目を捨てる、という戦い方が構造的に封じられているということですね。配点の数字だけでなく、こうした条件まで含めて初めて対策の優先順位が決まります。
この記事では2026年度の学生募集要項から配点と選抜方法を整理したうえで、竹内個別が実際の指導で使っている判断をお伝えします。竹内個別は大学受験全般に対応するオンライン個別指導塾で、医学部や国公立を目指す生徒の学習計画をオーダーメイドで組んでいます。本記事は配点の読み解きと方針の解説としてお読みください。
この記事でわかること
- 東邦大学医学部の1次・2次の科目別配点(大学公式)
- 基礎学力50点がどこで効いてくるのか
- 基礎学力の対策に時間をかけるべきでない理由
- 科目別の基準点(足切り)が意味すること
- 統一入試の英検加点と、私立併願の判断基準
配点から必要な得点は見えても、そこに届くまでに何をどの順で何時間やるかは別の話です。参考書ごとの所要時間と目標正答率まで入ったロードマップを無料でお配りしています。
東邦大学医学部の配点【大学公式】

まず配点を確認します。以下は東邦大学が公表している学生募集要項に基づく数字です(出典:東邦大学「2026年度学生募集要項 医学部〈一般入試〉」)。1次試験は2026年2月7日、会場は五反田TOCビル。2次試験は2月15日・16日のうち大学が指定する1日で、会場は大森キャンパスになります。まず1次試験の内訳から見ていきましょう。
| 科目 | 試験時間 | 配点 | 形式 |
|---|---|---|---|
| 理科(物理・化学・生物から2科目) | 120分 | 200点(1科目100点) | マークシート |
| 外国語(英語コミュニケーションⅠ〜Ⅲ・論理表現Ⅰ〜Ⅲ) | 90分 | 150点 | マークシート |
| 数学(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B「数列」・C「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」) | 80分 | 100点 | マークシート |
| 基礎学力(論理的思考能力、数理解析能力 等) | 60分 | 50点 | 記述式あり |
2次試験は面接のみで、時間は約40分・配点は50点です。要項には「2次試験は、1次試験の総得点に加え、基礎学力50点、面接50点、合計550点満点で合否を決定します」と書かれています。つまり最終的な満点は550点。そして「基礎学力および面接の評価が著しく低い場合は、得点に関わらず不合格とします」という条件も付いています。点数を積み上げれば必ず受かる、という形式ではないということですね。
科目ごとに合算するとこうなります
1次と2次を合わせて科目別に集計すると、東邦大学が何を重視しているかが見えてきます。大学は1次と2次の配点を別々に示すので、合算した表は自分で作る必要があります。手間はかかりますが、併願校を3〜4校まで絞った段階で一度やっておくと、その後の学習配分がぶれなくなるはずです。志望校を比較するときも、この形に直してから並べると判断しやすくなるでしょう。予備校のランキングを眺めているだけでは、この情報は出てきません。
| 科目 | 合計配点 | 全体比(550点中) |
|---|---|---|
| 理科 | 200 | 36.4% |
| 外国語 | 150 | 27.3% |
| 数学 | 100 | 18.2% |
| 基礎学力 | 50 | 9.1% |
| 面接 | 50 | 9.1% |
理科が36.4%で最大、次いで外国語が27.3%、数学は18.2%にとどまります。医学部というと数学が主役に見えますが、東邦では数学の比重が3科目の中で最も低いという結果になりました。さらに1次試験の450点だけで見ると、理科44.4%・外国語33.3%・数学22.2%。1次を突破する段階では、理科と英語がそのまま合否を左右するという配点です。数学が得意でも、それだけでは通過できない設計になっています。
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基礎学力50点は、1次の合否には使われない

ここが東邦の配点で最も誤解されやすい部分です。1次試験で4科目を受験するため、その4科目の合計で1次の合否が決まると考えるのが自然な読み方でしょう。ところが東邦の場合はそうなっていません。募集要項の原文を引用します。
> 1次試験は、理科200点(1科目100点)、数学100点、外国語150点、合計450点満点で合否を決定します。基礎学力は2次試験合格者選抜時に使用します。 > (出典:東邦大学「2026年度学生募集要項 医学部〈一般入試〉」)
1次試験の時間割を見ると、8時35分の点呼に始まり、理科(9:00〜11:00)、数学(12:10〜13:30)、外国語(14:10〜15:40)と続いて、最後の16:20〜17:20が基礎学力です。丸一日の最後に60分を費やす科目でありながら、その日の合否判定には算入されません。効いてくるのは2次試験、つまり面接を受けた後の最終選抜の段階になります。
この構造を知っているかどうかで、必要点数の計算が変わってきます。1次を突破するために必要なのは450点中の得点であって、500点中でも550点中でもありません。予備校サイトの中には1次試験の配点を「英語150・数学100・理科200・基礎学力50の合計450点」と書いているところもありますが、その足し算では500点になり、公式の450点と合いません。志望校の配点は、必ず大学が出している募集要項で確認してください。
そしてもうひとつ重要なのが、「基礎学力および面接の評価が著しく低い場合は、得点に関わらず不合格とします」という一文です。50点という配点以上の重みがここにあります。学科で高得点を取っていても、基礎学力が極端に低ければ落ちる可能性がある、と大学自身が明言しているということですね。捨ててよい科目ではありません。
基礎学力の対策に、時間をかけすぎないでください
では基礎学力とは何なのか。大学公式の説明では出題範囲が「論理的思考能力、数理解析能力 等」、選抜の趣旨は「文章や図表の内容の理解度やそれらを論理的に表現する力、科学的判断力を確認します」となっています。形式については「各科目は、マークシート方式で出題します。ただし、基礎学力のみ記述式があります」と明記されており、東邦で唯一の記述式科目です。
複数の医学部専門予備校の分析を照らし合わせると、実態は次のようなものです。2016年度に小論文を廃止して、その枠に入った試験であること。出題は数的処理と文章理解が中心で、四字熟語・同義語・ことわざ・慣用句・カタカナ語・同音異義語・文章の並べ替えといった語彙問題に、資料や統計を読み取る問題が加わること。そして複数の予備校が揃って「公務員試験やSPIを参考に作問されたと思われる」と分析していることです。要するに、国語の語彙とSPI的な数的処理・資料解釈が混ざった科目で、数学や理科の勉強では直接カバーされない領域になります。
教科の勉強では手が届かない領域なので、そのため予備校の記事の多くは「公務員試験やSPIの問題集に取り組もう」と勧めています。対策すべき穴があるように見えるからですね。しかし竹内個別の考えは違います。基礎学力の対策は過去問だけで十分です。専用の問題集を買ってやり込む必要はないと考えています。一般に言われていることとは逆の立場になるので、理由をきちんと説明しておきます。
理由は「東邦にしか使えない対策だから」です
理由ははっきりしています。東邦大学1本で考える受験生は、実際にはほとんどいません。私立医学部を受ける人は複数校を併願するのが普通で、東邦もその中の1校として受けることになります。そして基礎学力という科目は東邦にしかありません。SPIや公務員試験の問題集をやり込んでも、他の大学の受験にはまったく活きないということですね。
限られた時間をどこに投下するかを考えたとき、併願校すべてに効く勉強と、1校にしか効かない勉強では、優先順位は明らかです。他大学のメリットにならないところに時間を使いすぎるのは、受験全体で見ると損になります。基礎学力は過去問を数年分解いて形式に慣れておく、そのくらいの位置づけで十分でしょう。もちろん「著しく低い」評価を避ける必要はありますが、そのために専用の対策期間を設ける必要はありません。
これは基礎学力に限った話ではなく、私立医学部を併願するときの考え方そのものです。各大学の個別対策は、共通して効く勉強を終えた後にやる。順番を逆にすると、どの大学にも中途半端な状態で本番を迎えることになります。併願校が5校あれば、個別対策は5種類必要になるわけですから、土台ができていない段階で手を出す余裕はないはずです。まず全校に効く典型問題を固めてください。個別対策はその後で構いません。
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科目別の基準点(足切り)があります
東邦のもうひとつの特徴が、科目ごとの基準点です。募集要項には「物理、化学、生物、数学、外国語に基準点を設け、1科目でも基準点に達しない場合は、不合格になることがあります」と記載されています。さらに「未受験科目がある場合は、不合格となります」とも書かれています。基準点そのものの数値は公表されていません。
この条件を目にすると身構えてしまいますが、竹内個別の受け止め方はこうです。普通に医学部の勉強をしていれば、苦手科目であっても基準点にかかることはそうそうありません。基準点は極端な穴を持つ受験生を弾くための仕組みであって、全科目を標準的に仕上げてきた人を落とす設計ではないからです。基準点を恐れて苦手科目に時間を注ぎ込みすぎるのも、それはそれで配分を誤ることになります。過度に警戒する必要はないでしょう。
ではこの基準点は何を意味するのか。「この科目で満点を取って、この科目は0点でも合格しよう」という極端な戦略が通用しない、ということです。合計点さえ届けばよいという発想で、苦手科目を最初から捨てて他で埋める作戦を取る受験生がいます。東邦ではその作戦が構造的に成立しません。一般的な医学部対策を積み上げていけば問題ない、と考えてください。
ただし付け加えておくと、その「普通」が結構難しいというのが実際のところです。全科目を穴なく標準レベルまで持っていくのは、どこか1科目に特化するより手間がかかります。楽な条件だという意味ではありません。得意科目に逃げずに全科目を仕上げること自体が、この大学に対する対策になっているとも言えるでしょう。
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全科目マークシート。ただし理系科目は誘導に乗る練習が要る
東邦の1次試験は、基礎学力を除いてすべてマークシート方式です。国公立を第一志望にしている受験生が併願する場合、記述の勉強とは別にマーク対策を積む必要があるのか、という疑問が出てきます。竹内個別の答えは、特別にマーク対策の時間を取る必要はないというものです。典型問題を固めていれば、東邦の問題にも対応できます。
ただし1点だけ補足があります。理系科目のマーク問題は、誘導に乗っていくことが結構大事になります。大問の中で小問が段階的に並び、前の設問の結果を使って次に進む形式ですね。出題者が意図した筋道に沿って進めるかどうかで、解答時間が大きく変わってきます。記述式で自分の解法を一から組み立てるのとは、頭の使い方が少し違うということです。自分なりの解き方に固執すると、かえって遠回りになることもあるでしょう。この感覚をつかむ練習は必要になります。
とはいえ、それは過去問で対策できる範囲です。典型問題を固める段階を終えてから過去問に入る、という通常の順番を守っていれば、そこで自然に身につきます。マーク対策のための特別な教材を追加する必要はありません。逆に、典型問題が固まっていない状態でマーク形式の演習だけを積んでも、誘導に乗る以前の問題になってしまいます。順番だけ守ってください。ここでも「共通して効く勉強が先」という原則は変わりません。
参考までに、各科目の大問構成も押さえておきましょう。数学は小問レベルの問題が10題で80分、英語は6題(うち4題が長文)で90分、理科は化学2題・生物4〜5題・物理6題で2科目120分という構成が報告されています。科目数と設問数に対して時間が短いという点は共通しており、1問あたりの処理速度が問われる試験だといえます。
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統一入試には英検の加点が最大25点あります

東邦には一般入試とは別に統一入試という区分があります。募集人員は約5名と少ないのですが、配点の仕組みが独特です。1次試験は外国語100点・数学100点・理科200点に加えて、出願時に提出した英語資格・検定試験のスコアに応じて最大25点が加点され、合計425点満点で合否が決まります。基礎学力は25点(30分)で、こちらも2次試験の選抜時に使用されます。2次は面接約30分・50点で、総合500点満点という構成です。
加点の基準は次のとおりです。スコアの区分は5段階で、上位の基準ほど加点が大きくなります。出願時にスコアを提出する必要があるため、試験本番より前に取得を済ませておかなければなりません。当日の出来に左右されない持ち点として計算できる、という点がこの制度の特徴です。
| 加点 | 英検(CSEスコア) | TOEFL iBT | IELTS |
|---|---|---|---|
| 25点 | 2600以上 | 95以上 | 7.0以上 |
| 20点 | 2450〜2599 | 84〜94 | 6.0〜6.5 |
| 15点 | 2300〜2449 | 72〜83 | 5.5 |
| 10点 | 2125〜2299 | 57〜71 | 5.0 |
| 5点 | 1980〜2124 | 42〜56 | 4.0〜4.5 |
TEAP・TEAP CBT・GTEC・ケンブリッジ英語検定でも同様に加点されます。425点満点のうちの25点なので、比率にすると5.9%。決して小さくない数字です。外国語の配点が100点であることを踏まえると、英語の試験そのものの4分の1に相当する重みがあると考えることもできます。しかもこの25点は、試験当日の出来とは無関係に確定している点数です。
英語が苦手な人ほど、英検を取っておく価値があります
竹内個別としては、英検の加点が使える大学では使ってしまってよいと考えています。こうした資格加点の制度は、今のところ私立大学に多い印象があり、東邦もその一例です。制度がある以上、使わない理由はありません。国公立志望の受験生の中には英検を「関係のないもの」と考える人もいますが、私立を併願するなら話が変わってきます。出願先の候補に加点制度のある大学が入るなら、検討する価値があるでしょう。
理由は加点そのものよりも、受験を一発勝負にしないで済むという点にあります。英検は複数回受けられますし、今の英検は大学入試とかなり似た形式になっています。特に英語が苦手な生徒ほど、先にスコアを確保しておく意味が大きいでしょう。入試本番の1日で英語の出来がすべて決まる、という状況を避けられるからです。得意な人が上乗せするための制度というより、不安を減らすための制度だと考えてください。
時期については生徒によって変わります。単語帳や問題集がどこまで終わっているか、他の科目との兼ね合いはどうかによって判断が必要だからです。そのうえで理想を言えば、高校2年生までに取っておけるとかなり楽に進められます。高3になると学科の演習量が一気に増えるので、そこに英検の対策を重ねるのは負担が大きくなります。学年に余裕があるうちに片づけておくのが望ましいでしょう。
実際に基礎から順番に積み上げた例もあります。竹内個別で英検2級に合格したひとみさんは、単語→文法→解釈→長文という順番で英語を組み立て、偏差値49から57まで伸ばしました(2025年度・当塾在籍生)。英検の対策と大学受験の英語は、土台の部分が共通しています。英検のためだけに別の勉強を追加するというより、大学受験の英語を積み上げた結果として英検にも届く、という関係になります。だからこそ二兎を追うことにならないわけですね。
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面接はMMIとグループ討論。一般的な個人面接とは違います
2次試験の面接は約40分・50点です。形式が独特で、MMI(マルチプル・ミニ・インタビュー)方式の個人面接が3分×4回、加えて受験生4名に対し面接官2名のグループ討論が15分という構成が報告されています。面接官1名と向き合う短い面接を、部屋を移動しながら4回繰り返すイメージですね。1回15分程度の個人面接を1度だけ、という一般的な形式とはかなり違います。
竹内個別の面接対策の方針は、共通テストのあとに始めるというものです。大学ごとに形式と特色を調べ、その大学に向けた内容を組み立てるため、志望校が確定していないと作りようがないからです。個人面接なのかグループディスカッションなのかという形式の確認から入り、大学のホームページを見て何に力を入れている大学かを調べ、そのうえで構成を作ります。東邦のようにMMIとグループ討論が組み合わさる大学では、この事前の形式確認がとりわけ重要になるでしょう。
そして医学部受験の実情として、もともと第一志望だった大学をそのまま受験できる人はそれほど多くありません。共通テストの結果を見て出願先が変わるのが普通です。だからこそ、面接に早くから時間を使うのではなく、共通テスト以降に面接対策の時間を確保できるよう逆算するという考え方になります。具体的には11月までに学科の対策を終えておくことです。
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学費は6年間で2,580万円。国公立志望が併願すべきか
私立医学部を検討するうえで避けて通れないのが学費です。募集要項に記載された初年度の学納金は、入学金150万円・授業料250万円・医学教育充実費50万円・施設設備費30万円で合計480万円。2年次以降は授業料250万円・医学教育充実費90万円・施設設備費80万円で年420万円になります。したがって6年間の総額は2,580万円です。これとは別に、初年度のみ委託徴収金が49万7,800円かかります。
なお2年次から6年次までは特待生制度があり、前学年の学業成績が優秀で学修・生活態度が模範となる学生には、その年度の授業料のうち最高100万円が免除されます。ただし入学時点で適用されるものではありません。入学後の成績次第で負担が軽くなる可能性はあるものの、進学を決める段階の資金計画には織り込めない制度だと考えてください。奨学金についても、東邦大学青藍会貸与奨学金や千葉県医師修学資金など複数の制度が用意されています。
この金額をどう考えるか。竹内個別としては、学費が高い以上、簡単に私立の併願を勧めることはありません。国公立を目指している生徒に対して、選択肢を増やすという理由だけで私立を追加することはしないということですね。ただし、機械的に「国公立一本で」と言っているわけでもないのです。条件が揃えば私立を選ぶことも十分に合理的だと考えています。判断の軸を整理しておきます。
私立を狙うなら、私立で絞ったほうがいい
まず前提として、私立を受けるなら私立で絞ったほうが効率的だと考えています。理由は2つあります。ひとつは科目数が少ないこと。共通テストで6教科8科目を仕上げる必要がなく、理科2科目・数学・英語に集中できます。もうひとつは、国公立に比べると難易度が下がることです。同じ努力量なら合格の可能性は上がります。
そのうえで、家計的に支払いが可能であれば、私立を選ぶことは十分にありうる選択です。1年浪人して国公立に行くよりも、1年でも早く現役で私立に進みたい。あるいは現役でなくても、1年でも早く医学部に入りたい。そうした希望があるなら、私立は合理的な選択肢になります。医師になるという目的から逆算したとき、どの大学を出たかより、いつ医師になれるかのほうが効いてくる場面もあるからです。国公立にこだわること自体が目的化していないか、一度確認してみてください。
1年浪人することの「見えないコスト」
ここからは竹内個別の考え方としてお伝えします。公的な統計に基づく数字ではなく、当塾の試算による目安であることを先に断っておきます。学費の比較というと、国公立と私立の学費の差額だけで語られることがほとんどです。しかし進路の判断材料としては、それだけでは足りないと考えています。もうひとつ計算に入れるべきものがあるからです。
1年浪人するということは、医師として働く期間が1年短くなるということでもあります。医師としてのキャリアの最後の1年分の収入が失われる、という捉え方をすると、その金額はおよそ2,000万円から3,000万円になると考えています。私立医学部の学費と国公立の学費の差額は、この範囲に収まることが多いのが実際のところです。
つまり、その資金を用意できるご家庭であれば、国公立にこだわりすぎる必要はないとも言えます。もちろんこれは考え方のひとつであって、すべての家庭に当てはまるものではありません。ご家庭の事情は千差万別ですから、竹内個別では実際にお話をしながら判断していくことがほとんどです。数字だけで決められる問題ではないでしょう。
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地域枠は入学確約。辞退できません
東邦には一般入試の中に千葉県地域枠(2名)と新潟県地域枠(2名)が設けられています。学校推薦型にも公募制の千葉県地域枠3名・新潟県地域枠6名があります。千葉県地域枠は千葉県の医師修学資金制度による貸与を希望する学生を選抜する区分で、貸与額は月額20万円です。この制度は、地域における医師不足や医師の偏在を解消することを目的として設けられたものです。6年間で計算すると1,440万円になるため、学費負担を大きく下げられる仕組みだといえます。
ここで必ず確認しておくべき条件があります。募集要項には「一般入試(千葉県地域枠)、一般入試(新潟県地域枠)は入学確約入試であり、辞退することはできません」と明記されています。合格したら必ず入学する、という前提の入試区分だということですね。他大学と比較して進学先を選ぶ、という判断ができません。
竹内個別が地域枠について伝えているのは、卒業後の勤務地が固定される場合があるという点です。本当に医師になるという覚悟が決まっていて、その土地で働くことを後で後悔しないと言い切れるなら、問題はないと考えています。一方で、そこまで覚悟が固まっていない場合は、勉強を頑張って一般枠で入ったほうがいいかもしれません、という話をしています。
ただし、これは地域枠を否定しているわけではありません。確実に医師になるという目的に対して、地域枠は非常に有利な選択肢です。実際に竹内個別からも、地域枠を使って医学部に入学した生徒がいます(東邦大学ではなく他大学です)。制度を正しく理解したうえで効果的に使えるなら、かなり良い手段になるでしょう。要は、条件を知らないまま出願しないでください、ということです。
倍率ではなく合格最低点を見てください
東邦大学医学部は志願者数が多く、倍率の数字も大きく出ます。一般枠では志願者が2,000名を超える年もあり、募集人員は約70名ですから、単純に割れば大きな数字になります。この数字を見ると身構えてしまうかもしれません。しかし竹内個別は、倍率をあまり気にしなくてよいと考えています。倍率は出願が締め切られるまで確定しませんし、確定したところで自分にできることは変わらないからです。
理由は倍率の成り立ちにあります。どの大学にも言えることですが、偏差値が低めの大学ほど倍率は高くなる傾向があります。「ここなら受かるかもしれない」と考えて出願する人が増える一方で、募集人員は変わらないからです。分母だけが増えて分子が動かないので、結果として倍率の数字が大きくなります。倍率が高い=難しい、という単純な関係ではないということですね。
そして私立医学部の場合、1人の受験生が複数校に出願するため、志願者数はさらに膨らみます。国公立のように「1人1校」ではないので、倍率の数字と実際の競争の厳しさは一致しません。見るべきなのは合格最低点です。倍率にかかわらず、合格最低点を超えることだけを考えてください。倍率は自分でコントロールできませんが、得点は積み上げられます。判断材料にならない数字に気を取られるより、必要な点数から逆算するほうが確実ですし、精神的にも安定するでしょう。
東邦大学を目指すなら、優先順位はこうなります

ここまでの内容を整理します。配点と選抜条件から逆算すると、対策の優先順位は次のようになります。どれも配点の数字と募集要項の条件から導かれるもので、一般論としての「医学部対策」とは力点が違ってきます。同じ私立医学部でも配点が変われば力を入れる科目も変わるので、以下は東邦の550点という配点を前提にしたものだと理解してください。併願校それぞれについて、同じ作業をしておくことをおすすめします。
- 理科(36.4%)を最優先で仕上げる。1次450点中では44.4%を占める
- 英語(27.3%)を落とさない。数学より配点が高い
- 全科目を標準レベルまで。科目別の基準点があるため、捨て科目を作れない
- 基礎学力は過去問だけ。東邦にしか使えない対策に時間をかけない
- 面接は志望校確定後。MMI+グループ討論という形式の確認から入る
- 倍率ではなく合格最低点を見る
このうち最も強調したいのが、上から4つ目です。併願が前提の私立医学部受験では、「どの大学にも効く勉強」と「1校にしか効かない勉強」を区別することが、そのまま時間の使い方の質になります。東邦の基礎学力は後者の典型で、だからこそ過去問だけで十分だと考えています。対策すべきものが目の前にあると、つい手を出したくなるものです。しかし受験全体の得点を最大化するという観点では、そこは削ってよい部分になります。
そして全体を通して言えるのは、東邦は極端な受験生を弾く設計になっているということです。科目別の基準点、基礎学力と面接の「著しく低い場合は不合格」という条件、そして数学に偏らない配点。どれも、全科目をまんべんなく仕上げてきた受験生に有利に働きます。特別な裏技を探すより、標準的な医学部対策を穴なく積み上げるほうが結果につながる大学だといえるでしょう。
FAQ
Q1. 東邦大学医学部の偏差値はどのくらいですか?
A. 河合塾の入試難易予想ではボーダー偏差値67.5です(2026年6月現在)。ただし偏差値は志望者層の分布から算出される指標なので、それだけで対策は決まりません。東邦の場合は理科36.4%・外国語27.3%・数学18.2%という配点と、科目別の基準点という条件のほうが、実際の勉強の組み立てには直結します。偏差値表に配点は載っていません。
Q2. 1次試験は何点満点ですか?
A. 450点満点です。理科200点(1科目100点×2)、数学100点、外国語150点の合計で合否が決まります。基礎学力50点はこの450点には含まれず、募集要項に「基礎学力は2次試験合格者選抜時に使用します」と明記されています。2次試験は1次の総得点に基礎学力50点と面接50点を加えた550点満点で判定されます。
Q3. 基礎学力の対策には何をすればいいですか?
A. 竹内個別の考えでは過去問だけで十分です。予備校の多くはSPIや公務員試験の問題集を勧めていますが、基礎学力は東邦大学にしかない科目で、他の私立医学部の受験には活きません。私立医学部は複数校を併願するのが普通なので、1校にしか効かない対策に時間を使いすぎるのは受験全体で損になります。形式に慣れる程度で構いません。
Q4. 科目別の基準点があると聞きました。何点ですか?
A. 基準点の具体的な数値は公表されていません。募集要項には「物理、化学、生物、数学、外国語に基準点を設け、1科目でも基準点に達しない場合は、不合格になることがあります」とだけ記載されています。普通に医学部の勉強をしていれば苦手科目でも基準点にかかることはそうそうありませんが、「1科目で満点、1科目は0点」という極端な戦略は通用しないということです。
Q5. 英検を持っていると有利になりますか?
A. 統一入試では英語資格・検定試験のスコアに応じて最大25点が加点されます。英検CSEスコア2600以上で25点、2450〜2599で20点、2300〜2449で15点、2125〜2299で10点、1980〜2124で5点です。1次425点満点中の25点なので5.9%にあたります。ただし加点があるのは統一入試(募集約5名)で、一般入試には英語資格の加点はありません。
Q6. 英検はいつまでに取るべきですか?
A. 生徒の状況によりますが、理想は高校2年生までです。単語帳や問題集の進度、他の科目との兼ね合いによって判断が変わります。高3になると学科の演習量が増えるので、そこに英検対策を重ねると負担が大きくなるためです。特に英語が苦手な人ほど、先にスコアを確保して本番の一発勝負を避ける意味があります。英検は複数回受験できるので、早く始めるほど再挑戦の余地も残せます。
Q7. 面接はどんな形式ですか?
A. MMI(マルチプル・ミニ・インタビュー)方式の個人面接が3分×4回、加えて受験生4名に対し面接官2名のグループ討論が15分という構成が報告されています。試験時間は約40分・配点50点です。「面接の評価が著しく低い場合は、得点に関わらず不合格とします」と募集要項に明記されているため、学科の得点だけでは合格できません。
Q8. 学費は6年間でいくらかかりますか?
A. 2,580万円です。初年度は入学金150万円・授業料250万円・医学教育充実費50万円・施設設備費30万円で合計480万円、2年次以降は年420万円になります。別途、初年度のみ委託徴収金が49万7,800円かかります。2年次以降は成績優秀者に授業料を最高100万円免除する特待生制度がありますが、入学時点で適用されるものではありません。
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まとめ
東邦大学医学部医学科の配点で最も見落とされやすいのは、基礎学力50点が1次試験の合否判定に使われないという点です。1次は理科200点・外国語150点・数学100点の450点満点で決まり、基礎学力は2次試験の選抜時に加算されます。科目別に合算すると理科36.4%・外国語27.3%・数学18.2%で、数学の比重が3科目中で最も低いという配点になっています。
そして東邦には、科目別の基準点、そして「基礎学力および面接の評価が著しく低い場合は得点に関わらず不合格」という条件があります。極端な戦い方を封じる設計だといえるでしょう。得意科目で大きく稼いで苦手科目を埋める、という作戦が構造的に成立しません。全科目を標準レベルまで穴なく仕上げることが、そのまま対策になります。地味に見えますが、やるべきことがはっきりしているとも言えます。
対策の優先順位は、理科と英語を最優先に置き、全科目を基準点以上に保ち、基礎学力は過去問だけに留め、面接は志望校確定後に回す。この順番になります。併願が前提の私立医学部受験では、どの大学にも効く勉強を優先してください。1校にしか使えない対策に時間を配りすぎると、受験全体では損をします。目の前に対策すべきものがあると手を出したくなりますが、そこは意識して抑えるべき部分でしょう。
配点は大学ごとに違い、同じ「私立医学部」でも求められる科目バランスは変わります。志望校の候補が固まってきたら、必ず募集要項で配点と選抜条件を確認してください。偏差値表にも予備校サイトにも載っていない情報が、そこにあります。実際、東邦の1次試験の配点についても、公式と食い違う記載をしている予備校サイトがありました。一次情報にあたることが、そのまま差になります。
配点から必要な得点は見えても、そこに届くまでに何をどの順で何時間やるかは別の話です。参考書ごとの所要時間と目標正答率まで入ったロードマップを無料でお配りしています。
著者:竹内個別戦略室 尾崎侑絃(岐阜大学医学部医学科卒業・医師免許保持)
監修:竹内個別塾長 竹内壮志(名古屋大学工学部卒業)



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