シス単の使い方と覚え方|レベル別の進め方を塾講師が解説

シス単(システム英単語)は、大学受験の英単語帳として全国の高校で広く採用されている一冊です。ただし「ミニマルフレーズって何?」「どこまで覚えればいいの?」と戸惑う人も少なくありません。

この記事では、シス単のレベルと特徴から、1日100〜200語を反射レベルまで仕上げる具体的な覚え方、志望校別の進め方、そしてターゲット1900との違いまでを一気に解説します。学校で配られてどう使えばいいか迷っている人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事でわかること

  • シス単の章別レベルと到達できる大学の目安
  • 1秒で意味を思い出す「反射レベル」の暗記法
  • シス単とターゲット1900の違い(比較表あり)
  • 覚えにくいときの具体的な対処法
  • シス単を終えた後の英語学習ルート
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シス単のレベルと特徴|どんな単語帳なの?

シス単(システム英単語・駿台文庫)は、大学入試に出る英単語を出題頻度順に並べた単語帳です。収録語数は見出し語で約2,000語。これに加えて多義語が約180語収録されており、1冊で共通テストからMARCH・関関同立レベルまでカバーできる構成になっています。

多くの高校で副教材として採用されているため、「自分で選んだわけではないけれど手元にある」という人も多いのではないでしょうか。結論から言えば、シス単は大学受験用の単語帳として十分な実力を持っています。配られた1冊を信じてやり込めば、語彙面で困ることはほとんどありません。

ミニマルフレーズとは

シス単最大の特徴が「ミニマルフレーズ」。これは2〜5語の短いフレーズで、例文より短く、単語単体より実践的な形で覚えられる仕組みです。

たとえば "affect" なら「affect the result(結果に影響する)」のように、入試でよく出る形がそのままフレーズになっています。単語を1語だけ暗記するよりも、実際の長文で出会ったときに意味をつかみやすくなるのがメリットといえるでしょう。

ただし注意点もあります。フレーズを丸暗記しようとすると負荷が上がり、覚えるペースが落ちるケースがあるということ。まずは見出し語の赤字の意味だけに集中し、反射的に意味が出るようになってからフレーズの使い方に目を向けるのが効率的な進め方です。

章別のレベル一覧

シス単は5つの章(Stage)で構成されています。自分の志望校に合わせて、どの章まで仕上げるかの目安を確認しておきましょう。

単語番号レベル対応する大学の目安
第1章1〜600基礎(共通テスト基礎)共通テスト・日東駒専
第2章601〜1200標準(共通テスト〜中堅私大)共通テスト高得点・成成明学
第3章1201〜1685応用(MARCH・地方国公立)MARCH・関関同立・中堅国公立
第4章1686〜2021発展(早慶・旧帝大)早慶・旧帝大・難関国公立
第5章多義語180横断(全レベル共通)全レベルで出題あり

第1章と第2章(1〜1200番)を完璧にするだけで、共通テストの語彙はほぼ網羅できます。まずはここを「反射レベル」に仕上げることが最優先です。

シス単の正しい覚え方|1秒で思い出す「反射レベル」に仕上げる

シス単の正しい覚え方

英単語の暗記で最も大切なのは「思い出す回数を増やす」こと。これはシス単でもターゲット1900でも共通する原則です。

竹内個別では、英単語の覚え方として次の3つのルールを生徒全員に徹底しています。

ルール1:英→日の一方向に集中する

最初から英→日と日→英の両方をやろうとすると、負荷が倍になり挫折しやすくなります。まずは英単語を見て日本語の意味がパッと浮かぶ状態を目指しましょう。見出し語の赤字の意味だけでかまいません。

「書いて覚える」「例文ごと暗記する」といった方法を最初からやるのも非効率。まずは「見て→思い出す」のサイクルを最速で回すことだけに集中してください。日→英や派生語、スペルの暗記は、見出し語の意味が反射的に出るようになってから取り組めば十分間に合います。

ルール2:1日100〜200語を高速で回す

「1日10語ずつ丁寧に覚える」方式だと、200日かかるうえに最初の方はすべて忘れています。これでは非効率。

おすすめは1日100〜200語のペースで、英単語を見たら1秒以内に日本語の意味を思い出す練習を繰り返す方法です。1語にかける時間は1〜3秒。わからなければすぐ答えを見て次へ進みます。

具体的な手順はこのような流れになります。

  1. 赤シートで日本語訳を隠す
  2. 英単語を見て1秒以内に意味を思い出す
  3. 思い出せたら次へ。思い出せなければ赤シートをずらして確認し、すぐ次へ
  4. 100語まで到達したら、最初に戻ってもう1周する
  5. 1日のうちに同じ範囲を2〜3周繰り返す

この高速回転を何周も繰り返すことで、脳が「この単語は重要だ」と判断し、長期記憶に移行していきます。

ルール3:目標は「反射レベル」

「反射レベル」とは、友達の顔を見た瞬間に名前がわかるのと同じ状態のこと。英単語を見て「えーっと……」と考えている間は、まだ反射レベルに達していません。

長文読解では1文中に何十もの単語が並びます。1語ごとに数秒かけて思い出していたら、文の意味を追いきれないでしょう。だからこそ、1秒以内に意味が出る状態を目指す必要があるのです。

反射レベルに達しているかどうかのチェック方法はシンプル。100語を通して見たときに、90語以上が1秒以内に意味を言えれば合格ラインです。残りの10語以下を重点的に復習すれば、その範囲は仕上がったと判断してかまいません。

なぜ「思い出す回数」が暗記の最短ルートなのか

脳の海馬は、情報をインプットする機能は優れていますが、アウトプット(思い出す)機能はそれほど強くありません。だからこそ「思い出す練習」を意図的に増やすことが、記憶定着への最短ルートになります。

まるで筋トレと同じで、1回100kgを持ち上げるより、軽い重量を毎日繰り返す方が筋肉はつく。英単語も、1語を10分かけて覚えるより、100語を1分ずつ10周する方がはるかに定着するということです。

竹内個別では「2週間で300単語」のスケジュールテンプレートを生徒に配布し、このペースで進めてもらっています。このテンプレートに従えば、第1章(600語)は約4週間で反射レベルに到達可能です。

やってはいけない覚え方

逆に、効率が悪い覚え方も押さえておきましょう。

  • 1日10語ずつ「完璧に」覚えようとする:1周するのに200日かかり、最初の語はほぼ忘れている
  • ノートに何度も書き写す:手が疲れるだけで「思い出す」練習になっていない
  • 最初から派生語・例文まで覚えようとする:情報量が多すぎて1周のスピードが落ちる
  • 1章を完璧にしてから次に進む:完璧を目指すと先に進めず、モチベーションが下がりやすい

大切なのは「完璧に覚えてから次へ」ではなく「ざっくり覚えて何周もする」という発想の転換です。90%の完成度で次の章に進み、前の章の復習を並行して続ける方が、結果的に全体の定着率は高くなります。

▶ 関連記事:英単語の覚え方|1秒で思い出せる「反射レベル」に仕上げる暗記法【高校生向け】

章別の進め方と志望校別の目安

シス単は全部で約2,000語ありますが、全員が第4章まで仕上げる必要はありません。志望校のレベルに合わせて、優先順位をつけて進めましょう。

共通テスト・日東駒専レベルを目指す場合

第1章〜第2章(1〜1200番)を完璧にすることが最優先。ここが反射レベルに仕上がれば、共通テストの英語で語彙が原因で詰まる場面は大幅に減ります。余裕があれば第5章(多義語)にも手をつけておくと安心です。

目安として、高3の夏休みまでに第2章までを仕上げておくと、秋以降の長文演習や過去問対策に余裕が生まれます。

MARCH・関関同立・中堅国公立を目指す場合

第3章(1201〜1685番)までが必須ライン。第1章・第2章が固まっていないまま第3章に進んでも効率が悪いので、必ず順番を守ってください。第3章まで反射レベルに仕上がれば、MARCHの長文でも語彙面で困ることはほとんどなくなります。

高3の夏までに第3章を1周し、秋に2〜3周して固めるのが理想的なペースです。

早慶・旧帝大・難関国公立を目指す場合

第4章(1686〜2021番)まで仕上げたいところ。加えて第5章の多義語もしっかり押さえておきましょう。早慶レベルでは「知っている意味」だけでは対応できず、多義語の2番目・3番目の意味が問われることも珍しくありません。

高2のうちに第2章までを完了させ、高3春から第3章・第4章に進めると理想的。理系の受験生は高3夏以降に理科や数学の学習量が急増するため、英語の単語は早めに仕上げておくことを強くおすすめします。

進め方のスケジュール例

期間やることペース
1〜2週間目第1章(1〜600番)1周目1日100語ずつ、6日で1周
3〜4週間目第1章 2〜3周目 + 第2章 1周目開始第1章の復習と並行して進める
5〜8週間目第1章・第2章を交互に回す反射レベルになるまで繰り返す
9週間目〜第3章に進む(第1・2章の復習は週1回)1日100語ペースを維持

ポイントは「前の章を完全に忘れる前に復習すること」。新しい章に進んでも、週に1回は前の章を高速で流す時間を確保しましょう。通学中の電車やバスの中でサッと見返すだけでも効果は十分あります。

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シス単 vs ターゲット1900|どっちを使うべき?

シス単とターゲット1900の比較

「シス単とターゲット1900、どっちがいいの?」という質問は、受験生から非常に多く寄せられます。結論から言えば、どちらを使っても合格できます。大事なのは1冊を完璧に仕上げることです。

比較表で違いを確認

比較項目シス単(システム英単語)ターゲット1900
収録語数約2,000語 + 多義語1801,900語
暗記の形式ミニマルフレーズ(2〜5語)一語一義(英→日がシンプル)
多義語対応専用の章あり(第5章)見出し語内で複数訳を併記
配列出題頻度順出題頻度順
レイアウト見開き左側に見出し語が集中1ページに見出し語+例文がセット
アプリあり(有料)あり(無料機能が充実)
向いている人フレーズで実践的に覚えたい人英→日をシンプルに高速回転したい人

大きな違いは「暗記の形式」の部分。シス単はミニマルフレーズで覚えるため、単語の使い方も同時に身につく利点がある一方、覚える情報量がやや多くなります。ターゲット1900は一語一義がシンプルで、赤シートを使った高速回転がしやすい構成です。

竹内個別の方針:学校で配られた方を使う

竹内個別では、ターゲット1900を第一推奨としていますが、シス単でもまったく問題ないという立場です。理由は明確で、ターゲット1900の方が英→日がシンプルなぶん、先ほど紹介した「1秒反射」の練習がやりやすいから。

ただし最も重要なのは「二股をかけないこと」。シス単を半分やってからターゲットに乗り換えたり、両方を中途半端に進めたりするのが一番もったいないパターンです。学校で配られた方を信じて、1冊を徹底的にやり切ってください。

2冊を並行して使うと、「どちらも中途半端で、結局どの単語も反射レベルに到達しない」という状態に陥りがち。収録語の重複も多いため、2冊やったところで語彙の増加は限定的です。

覚えにくいと感じたらターゲット1900への乗り換えもあり

ただし、シス単のミニマルフレーズがどうしても合わない生徒がいるのも事実。フレーズごと覚えようとして混乱してしまう場合や、ページのレイアウトが見づらいと感じる場合は、ターゲット1900への乗り換えを検討してもよいでしょう。

ターゲット1900は「一語一義」が基本で、英→日がシンプルなぶん高速回転がしやすいという利点があります。実際に竹内個別でも、シス単で伸び悩んでいた生徒にターゲット1900を勧めたところ、ペースが上がったケースがあります。

繰り返しになりますが、乗り換えるなら早めに決断すること。第1章をやってみて明らかに合わないと感じたら、その時点で切り替えるのがベストです。第3章まで進んでから乗り換えるのでは、時間のロスが大きくなってしまいます。

シス単を終えた後の英語学習ルート

シス単の後の英語学習ルート

シス単を仕上げたら、次に何をすればいいのか。英語は「積み上げ型」の科目なので、正しい順番で進めることが合格への最短ルートになります。

英語学習の正しい順番

竹内個別では、英語学習を以下の4ステップで指導しています。

  1. 単語(シス単 or ターゲット1900)
  2. 文法(英文法の参考書で体系的に学ぶ)
  3. 英文解釈(1文を正確に読む力をつける)
  4. 長文読解(段落・文章全体の意味をつかむ)

この順番は絶対条件です。単語が固まっていないまま長文に入っても、知らない単語だらけで読めず、時間だけが過ぎていきます。野球に例えれば、キャッチボールもできないのに試合に出るようなもの。基礎を飛ばして応用に進んでも、結局は基礎に戻ることになるからです。

シス単の第1章・第2章が反射レベルに仕上がったタイミングで、文法の学習を並行して始めるのがベスト。単語を「完全に終えてから」文法に進む必要はなく、第1章・第2章がある程度固まった段階で次のステップを重ねていくのが効率的な進め方になります。

▶ 関連記事:大学受験英語の勉強法と正しい順番|4ステップ完全ガイド

▶ 関連記事:英文法参考書おすすめ6選|大学受験で失敗しない選び方

長文が読めないと感じたら

文法・解釈まで進んだのに長文が読めないと感じる場合、原因の多くは「単語が反射レベルに達していない」か「英文解釈の精度が足りない」のどちらかです。長文の中で「見たことはあるけど意味が出てこない」単語が多い場合は、シス単に戻って反射レベルまで仕上げ直す必要があります。

偏差値49から英検2級に合格したHitomiさんも、単語→文法→解釈→長文の順番を守ったことで、長文で詰まる場面が激減したと話しています。また、英語偏差値36から60まで伸ばしためいさんも、まず単語の土台を固めたことが成績急上昇のきっかけになりました。

英語は正しい順番で積み上げれば、センスや才能に関係なく誰でも伸ばせる科目です。日本語を不自由なく使えている時点で、言語を習得する力は全員が持っています。「英語が苦手」と感じている人ほど、才能の問題ではなく順番の問題である可能性が高いので、まず単語の土台を見直してみてください。

▶ 関連記事:英語の長文が読めない原因5つと読めるようになる勉強法

FAQ(よくある質問)

Q1. シス単は共通テストだけで使うには多すぎますか?

A. 共通テストだけなら第1章〜第2章(1〜1200番)を反射レベルに仕上げれば十分対応できます。第3章以降は中堅私大〜難関大向けの語彙なので、志望校に合わせて進めてください。全部覚える必要はありません。

Q2. ミニマルフレーズは覚えた方がいいですか?

A. フレーズごと覚えるのが理想ですが、最優先は見出し語の日本語訳を1秒で思い出せる状態にすること。フレーズが負担になるなら、まず英→日の一語一義で回し、反射レベルに達してからフレーズに戻る方法でも問題ありません。

Q3. シス単とターゲット1900を両方やるのはアリですか?

A. おすすめしません。どちらも大学受験の頻出語を網羅した単語帳なので、収録語の重複が多く、2冊やっても語彙の増加は限定的です。1冊を完璧にする方が圧倒的に効率的。二股が一番もったいないパターンです。

Q4. シス単Basicと通常版、どちらから始めればいいですか?

A. 中学英語に不安がある場合はBasicから始めるのが安全です。高校の授業についていけているなら、通常版(青い表紙)から始めてかまいません。Basicの語彙は通常版の第1章・第2章と重複が多いため、通常版から始めても基礎語彙はカバーできます。

Q5. 1日何語ずつ進めるのがベストですか?

A. 1日100〜200語を目安に、1語あたり1〜3秒の高速回転で進めてください。「1日10語を丁寧に」よりも「100語をざっと何周も」の方が記憶に残ります。竹内個別では「2週間で300単語」のペースを推奨しています。

Q6. シス単の多義語(第5章)はいつやればいいですか?

A. 第1章〜第3章が反射レベルに仕上がったタイミングで取り組むのがベスト。多義語は長文読解の精度に直結するため、MARCH以上を目指す受験生は必ず押さえておきましょう。共通テストでも文脈による意味の判別が求められる問題が増えています。

Q7. シス単だけで早慶に受かりますか?

A. シス単の第4章まで仕上げれば、早慶レベルの語彙の大半はカバーできます。ただし、英語の得点力は単語だけで決まるものではありません。文法・英文解釈・長文読解の力も同時に鍛える必要があります。単語はあくまで「土台」であり、その上に文法・解釈・長文の力を積み上げて初めて得点につながります。

Q8. シス単のアプリは使った方がいいですか?

A. アプリはスキマ時間の復習ツールとしては便利ですが、メインの学習は紙の単語帳で行うことをおすすめします。紙の方が赤シートを使った高速回転がしやすく、「どのあたりに載っていた単語か」という位置記憶も定着の助けになるからです。通学時間にアプリで復習し、自宅では紙で集中して回すという使い分けが効率的でしょう。

まとめ

シス単は、ミニマルフレーズによる実践的な暗記ができる優れた単語帳です。覚え方のポイントを最後に整理しておきます。

  • 英→日の一方向に集中し、見出し語の意味をまず覚える
  • 1日100〜200語を1秒反射で高速回転させる
  • 志望校に合わせて第2章まで・第3章まで・第4章までとゴールを決める
  • ターゲット1900との二股は避け、1冊をやり切る
  • 覚えにくければターゲット1900への乗り換えも選択肢に入れてよい
  • シス単を終えたら、文法→解釈→長文の順番で英語力を積み上げる

英語は正しい順番で積み上げれば、誰でも伸ばせる科目です。まずはシス単の第1章・第2章を「反射レベル」に仕上げるところから始めてみてください。

竹内個別では、生徒一人ひとりの志望校と現状に合わせた参考書ルートと学習計画を作成しています。これまでの実績者の声はこちらからご覧いただけます。

▶ 関連記事:大学受験の勉強法を総まとめ|合格者が実践した科目別・時期別戦略

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著者: 竹内個別戦略室 尾崎侑絃(岐阜大学医学部医学科卒業・医師免許保持)

監修: 竹内個別塾長 竹内壮志(名古屋大学工学部卒業)

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